コラム

トルコ通貨危機の教訓...日本でも「失政によるインフレ」は起こり得る

2022年01月12日(水)17時30分

もっともトルコの国民はしたたかで、経済力のある人はドル預金を行っているほか、街中には多くの両替商が軒を連ね、庶民生活にもドルが相当入り込んでいるとされる。

一旦、加速したインフレを阻止するには、金融引き締めや緊縮財政など国民生活を犠牲にするしか解決策はない。インフレを放置すれば、預金の実質的な目減りという形で、多額の税金を徴収したことと同じ結果になる。どちらを選択するにせよ国民から富を奪うことに変わりはない。日本ではインフレをうまく制御すれば財政出動と両立できるという意見があるが、現実には不可能であることをトルコの事例は示している。

ちなみにインフレは超大国であるアメリカでも発生しており、1979年にFRB議長に就任したポール・ボルカー氏は政策金利を20%に引き上げるという荒療治で何とか物価上昇を抑え込んだ。日本と諸外国とでは経済状況が違うという議論はあまり意味をなさないと思ったほうがよい。政策を誤ればどの国でもインフレは発生する。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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