ニュース速報
ワールド

ガザ停戦が発効、人質名簿巡る混乱で遅延 15カ月に及ぶ戦闘休止

2025年01月19日(日)19時34分

 イスラエルのネタニヤフ首相は19日、パレスチナ自治区ガザでの停戦について、イスラム組織ハマスが解放する人質のリストを提供するまで実行しない意向を示した。写真は停戦合意を支持するデモ。18日テルアビブで撮影(2025年ロイター/Ronen Zvulun)

Maayan Lubell Nidal al-Mughrabi James Mackenzie

[エルサレム/カイロ 19日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザでの停戦は19日、予定より3時間近く遅れて発効した。地域を荒廃させ、中東の勢力図を大きく変えた15カ月に及ぶ戦闘はひとまず休止した。

パレスチナの医療関係者によると、当初の停戦開始予定のGMT0630(日本時間午後3時半)から実際に停戦に入ったGMT0915までの間に、イスラエルの空爆と砲撃により13人が死亡した。

イスラエル側は、イスラム組織ハマスが停戦合意に基づいて解放される最初の人質3人の名簿を提出しなかったとして、遅延の責任はハマスにあると非難した。

イスラエル首相府は「ネタニヤフ首相はイスラエル軍に対し、ハマスが提供を約束した解放予定の人質の名簿を入手するまで停戦を開始しないよう指示した」と発表していた。

ハマス側はガザ停戦合意を順守する意向を確認し、第1段階で解放される人質の名前の公表が遅れたのは「現場の技術的な問題」によるものとしたものの、詳細は明らかにしていなかった。

パレスチナ当局筋によると、仲介国は停戦発効前の48時間の「平穏」状態を求めていた。しかし、直前までイスラエル軍の攻撃が続いたため、名簿の送付が困難だったことが遅延の原因という。

ハマスは予定より停戦発効予定より2時間遅れて人質の名簿を送ったと発表し、イスラエル当局も受け取ったことを確認した。

ハマスを支持するメディアは19日未明、イスラエル軍は南部ラファからエジプトとガザの境界「フィラデルフィ回廊」への撤退を開始したと報じた。

イスラエル軍はガザ住民に対し、停戦が発効する前にイスラエル軍に近づいたり、ガザ地区内を移動したりしないよう警告した。移動が許可された場合は「安全な移動方法について声明と指示がが発表される」としている。

停戦の第1段階は6週間で、この間にハマス側は98人の人質のうち女性や子供ら33人を解放する。初日は赤十字を通じて女性の人質3人が解放される見込み。

バイデン政権で中東担当顧問を務めるブレット・マクガークによれば、続いて7日後に4人の女性人質が解放され、その後7日ごとにさらに3人の人質が解放されることになっている。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ペルーで列車が正面衝突、マチュピチュ近く 運転手死

ビジネス

中国製造業PMI、12月は50.1に上昇 内需改善

ビジネス

ソフトバンクG、オープンAIへの225億ドル出資完

ビジネス

中国製造業PMI、12月は9カ月ぶり節目回復 非製
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中