ニュース速報
ワールド

レバノンでまた通信機器爆発、20人死亡 日本製トランシーバーか

2024年09月19日(木)14時40分

レバノン治安筋などによると、首都ベイルート近郊や各地で18日、イスラム教シーア派組織ヒズボラ戦闘員が使用していた通信機器が一斉爆発した。レバノン・シドンで同日撮影(2024年 ロイター/Hassan Hankir)

[ベイルート 18日 ロイター] - レバノンの首都ベイルート郊外など同国各地で18日、イスラム教シーア派組織ヒズボラ戦闘員が使用していたトランシーバーが一斉爆発した。前日にはヒズボラが使っていたポケットベルが相次いで爆発しており、さらに緊張が高まった。

レバノン保健省は、20人が死亡し、450人以上が負傷したと発表した。爆発はベイルート郊外や東部ベカー高原を中心に発生。前日の一斉爆発では12人が死亡、3000人近くが負傷した。

爆発した通信機器の画像には「ICOM」と「日本製」のラベルが貼られていた。日本の無線機メーカー、アイコムは19日、この報道について「当社から出荷した製品かどうかは確認できない」とのコメントを出した。

また、爆発したとされるモデルについて、約10年前に販売を終了したと説明。バッテリーの生産も終え、画像の機器には偽造品防止のためのホログラムシールが貼付されていないとした。海外向け製品の出荷に際しては、経済産業省が定めた厳格な輸出管理をしているという。

治安筋は、イスラエルの情報機関モサドの仕業としているが、イスラエル政府当局者は爆発についてコメントしていない。ヒズボラのある幹部は、同組織の安全が創設以降で最も侵害されたと述べた。

イスラエルのガラント国防相は空軍基地で発言し、「われわれは戦争の新局面を開きつつある。これには勇気と決意、忍耐が必要」と述べた。

一方、ヨルダンのサファディ外相は、イスラエルが多くの戦線で危険な緊張激化を画策し、中東を地域戦争の瀬戸際に追いやっていると非難した。

国連安全保障理事会はアラブ諸国の要請を受け、今回の爆発事件を議題とする会合を20日に開く。

治安筋によると、ヒズボラはこの日爆発した無線機を5カ月前に購入。17日に爆発したポケットベルの購入とほぼ同時期という。ヒズボラはイスラエルによる携帯電話の傍受を回避するため、ポケベルなど一昔前の通信機器を使っていた。

レバノン赤十字はXへの投稿で、ベイルート南部やベカー高原など多くの地域で発生した複数の爆発に対し、30の救急隊が出動していると発表した。18日に起きた爆発のうち少なくとも1回は、17日の爆発で死亡した人々の葬儀が行われていた会場付近で発生した。

イランのファルス通信は、イランの駐レバノン大使が17日の爆発で軽傷を負ったと報道していたが、18日付の米紙ニューヨークタイムズ(NYT)は、イラン軍筋の話として、大使が片目を失明し、もう片方の目にも重傷を負ったと報じた。

イランの国連大使は18日付の文書で一斉爆発への「対応で必要と見なす措置を講じる権利を国際法の下で留保する」と表明した。

ヒズボラはイスラエルに対する報復を宣言しており、18日にはイスラエルの砲兵陣地をロケット弾で攻撃したと発表した。

米国のカービー大統領補佐官は18日、一斉爆発が停戦協議に与える影響を評価するのは時期尚早との認識を示した。

ある米政府当局者は、イスラエルが17日にレバノンで何かを行う考えを米側に伝えていたが、詳細を明かしておらず、一斉爆発は米国も予想していなかったと語った。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国の鉄鋼輸出許可制、貿易摩擦を抑制へ=政府系業界

ワールド

アングル:米援助削減で揺らぐ命綱、ケニアの子どもの

ワールド

訂正-中国、簡素化した新たなレアアース輸出許可を付

ワールド

情報BOX:米国防権限法成立へ、ウクライナ支援や中
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中