ニュース速報

ワールド

ブリュッセル同時爆発攻撃で30人死亡、「イスラム国」犯行声明

2016年03月23日(水)10時28分

 3月22日、ベルギーの首都ブリュッセルの空港と地下鉄で22日午前、同時爆発攻撃が発生し、少なくとも30人が死亡した。写真は爆発のあったブリュッセルの空港に集まる救急車両(2016年 ロイター/Francois Lenoir)

[ブリュッセル 22日 ロイター] - ベルギーの首都ブリュッセルの空港と地下鉄で22日午前、同時爆発攻撃が発生し、少なくとも30人が死亡した。攻撃後に過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を発表。ベルギーの交通機関は一時全面運休となり、欧州各国で警戒態勢が引き上げられた。警察当局は容疑者2人が空港で自爆攻撃を行ったとの見方を示した上で、逃走したもう1人の容疑者の行方を追っている。

ベルギーでは前週、昨年11月のパリ同時攻撃の実行犯として国際手配されていたサラ・アブデスラム容疑者(26)が拘束されたばかり。ベルギー当局は関連性についてほぼコメントを控えている。複数の米当局者は、同容疑者の拘束が今回の攻撃の引き金となった可能性があるとしたものの、それ以前から準備されていた形跡が組織レベルからうかがえるとした。

目撃者によると、ザベンテム国際空港の出発ロビーで、人ごみのなか爆発が2回起きた。爆発はチェックインカウンター付近で発生し、爆発直前に何者かがアラビア語で叫び、銃声も聞こえたという。当局によると、その後3個目の爆弾が発見され処理された。死者はこれまでに最低10人、負傷者は100人前後とみられる。空港は翌23日も閉鎖される予定。

ある目撃者は最初の爆発後「空港のガラス天井が割れた。その後死者5人を運ぶのを手伝ったが、足は砕かれていた」と話した。空港の映像からは、天井タイルやガラスが床に散乱し、血まみれの遺体が横たわっている状況が確認された。

欧州連合(EU)の関連機関に近い地下鉄マルベーク駅では、朝のラッシュアワーのなか同駅を出発した列車が爆発した。当局によると死者は20人、負傷者は約130人。テレビ映像では、プラットフォーム内の列車のドアや窓が吹き飛び、車両は変形し、内部は焼け落ちた様子が確認された。ユーロスターはロンドン・ブリュッセル間が運休となり、英首相報道官は必要ない場合はブリュッセルへの旅行を控えるよう市民に呼びかけた。

こうしたなか過激派組織「イスラム国」は犯行声明を発表。「イスラム国に対する攻撃への代償として、十字軍同盟は暗黒の日々を迎えることを思い知らせる」と述べた。

ベルギーのミシェル首相は「恐れていたことが現実に起きてしまった。目に見えない、凶暴かつ卑劣な攻撃がわが国を襲った」と発言。フランスのバルス首相は「われわれは戦争状態にある。欧州は過去数カ月間、戦争行為にさらされている」と述べた。このほかキューバを訪問中のオバマ米大統領は「国籍や人種、宗教を超えてテロリズムに対抗するために連携しなくてはならない」とし、各国と連携して安全を脅かす勢力に対抗していくとの決意を示した。

デルタ航空やユナイテッド航空、アメリカン航空(AA)など米航空各社は22日、ブリュッセル発着便を欠航とした。米ホテルチェーン大手、スターウッド・ホテルズ&リゾーツ・ワールドワイドはブリュッセルで営業するすべてのホテルを封鎖した。また、米インターネット交流サイト(SNS)大手フェイスブックは、爆発発生地域にいる友人の安否をユーザーが確認できる機能を始めたとした。

爆発攻撃を受け、欧州株は軟調。航空やホテルなど旅行関連株への売りが目立った。米国株もさえず。為替市場では英国で欧州連合(EU)離脱機運が高まるとの見方や、国内政治状況への懸念がポンドを圧迫する一方、安全資産とされるドルへの需要が広がり、英ポンドが対ドルで急落した。

*写真を更新しました。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

企業のAI導入、「雇用鈍化につながる可能性」=FR

ビジネス

ミランFRB理事、0.50%利下げ改めて主張 12

ワールド

米航空各社、減便にらみ対応 政府閉鎖長期化で業界に

ビジネス

米FRBの独立性、世界経済にとって極めて重要=NY
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの前に現れた「強力すぎるライバル」にSNS爆笑
  • 4
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 7
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 10
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中