IMFが新興国向け資金流入で警鐘、危機時の逃げ足速い投資家が大半
ワシントンのIMF本部で2018年9月撮影。REUTERS/Yuri Gripas
Libby George
[ロンドン 7日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は7日公表した「グローバル金融安定報告」で、新興国に流入する資金の大半をヘッジファンドや年金基金、保険会社といった非銀行金融機関からのポートフォリオ投資が占める点に触れて、危機発生時には急激な資金流出に見舞われかねないと警鐘を鳴らした。
IMFは、新興国市場への資金流入について過去20年でポートフォリオ投資が倍増して80%に達した一方、2008年の金融危機後は銀行融資の比率が低下したと指摘した。この間のポートフォリオ投資の累積額は4兆ドル近くとなっている。
こうしたポートフォリオ投資資金は、世界的に流動性が潤沢な局面において新興国は低コストで資金を調達できるという面で大きな恩恵を受けるという。
ただIMFによると、ポートフォリオ投資家は08年以降、世界の金融環境が変化すると資金を素早く引き揚げる傾向が強まっている。
そのためポートフォリオ投資に依存する国や企業は「世界的な金融ショックに対して特に脆弱」だとIMFは分析した。
またIMFはヘッジファンドと投資ファンドについて、他のポートフォリオ投資家に比べてリスクへの反応がはるかに敏感で、金融市場の厚みに欠け、政策対応能力が限られる新興国では、そのリスクが一段と増大するとの見方を示した。
IMFは「これらの資金流入が突然減少すれば、対外資金調達圧力が高まり、企業や政府の信用スプレッドが拡大して、急激な通貨安を引き起こしかねない」と述べた。
新興国における対外ポートフォリオ債務残高は、IMFの推計に基づくと平均で国内総生産(GDP)の約15%に上る。
外国人によるポートフォリオ保有が特に大きいハンガリーでは、通貨フォリントが2月末の米・イスラエルによるイラン攻撃以降下落している。これは1年以上にわたり好調だった新興国全体への資金流入の減少と軌を一にしている。
IMFは、ポートフォリオ資金の流出を抑制するため、各国に対して機構・制度の質を高めることや、外貨準備などの緩衝材をより手厚くすること、公的債務の持続可能性の確保などを提言した。
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