ニュース速報
ビジネス

主要国PMIが軒並み悪化、エネルギー高騰で景気が急失速

2026年03月25日(水)01時53分

各国で発表された総合購買担当者景気指数(PMI)によると、エネルギー価格の高騰と不確実性の高まりが経済活動を抑制し、インフレ期待を押し上げていることが明らかになった。23日撮影。REUTERS/Dado Ruvic

Balazs Koranyi Lucia Mutikani

[フ‌ランクフルト/ワシントン 24日 ロイター] - 各国で発‌表された総合購買担当者景気指数(PMI)によると、エネルギー​価格の高騰と不確実性の高まりが経済活動を抑制し、インフレ期待を押し上げていることが明らかになった。⁠イラン戦争がすでに世界の主​要経済に打撃を与えていることを示した。

米国、欧州、日本の企業の購買担当者を対象とした同調査の速報は、世界のエネルギー供給の大部分を停止させた約4週間にわたる紛争の経済的影響を、これまでで最も包括的に捉えたものとなっている。

石油やガス、およびその関連製品の価格急騰は、⁠世界経済にとってインフレの拡大や経済成長の阻害につながる恐れがある。これは、トランプ米大統領自身を含む各国政府にとって厄介な問題と⁠なるだけ​でなく、世界の多くの中央銀行が物価上昇圧力抑制に向けてより引き締め的な金融政策を検討するきっかけとなっている。

ユーロ圏21カ国・地域では、企業が納期延長やコスト上昇を示唆し、それを価格転嫁する動きが見られたため、今月は民間部門の成長がほぼ停滞した。

S&Pグローバルがまとめた3月のユーロ圏のHCOB総合PMI速報値は50.5となり、前月の51.9から低下し、10カ月ぶりの低水準を記録した。国別の指標では、フラン⁠ス企業の景況感が大幅に低下し、ドイツの民間部門の成長は3カ月ぶり‌の低水準に減速した。 

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフビジネスエコノミ⁠スト、ク⁠リス・ウィリアムソン氏は「中東紛争が物価を急騰させ、成長を抑制しており、ユーロ圏PMI速報はスタグフレーションの警鐘を鳴らしている」と述べた。

S&Pグローバルの米国調査でも同様に、エネルギー価格の上昇がインフレ懸念を高める一方で、企業景況感の悪化は民間部門の雇用見通しの悪化を示唆している。

3月の‌米総合PMI速報値は51.4と、前月の51.9から低下し、昨年4月以来、11カ月ぶりの低水準となった。低下は​サービス‌部門によるものだった。

他のG7諸国の⁠状況もさほど変わらなかった。

3月の英​国の総合PMIは51.0と、前月の53.7から低下し、過去6カ月で最低となった。中東戦争による燃料・輸送・原材料価格の高騰が主因となり、製造業の投入コスト上昇率は1992年以降で最大となった。

日本では、製造業とサービス業の活動を合わせた総合PMIが、2月の53.9から3月には52.5に低下した。

世界の石油輸送量の約5分の1が通過するホルムズ海峡の事実上の閉鎖によるエネルギーショックが深‌刻化しているにもかかわらず、今のところ、この戦争が世界経済を本格的な不況に陥れると語るエコノミストはほとんどいない。オックスフォード・エ​コノミクスのニコラ・ノビル氏はユーロ圏への影⁠響について「このシナリオは、紛争の期間とエネルギー価格の見通しに大きく左右される」とコメントした。

とはいえ、米国とイスラエルのミサイル攻撃への報復としてイランが湾岸地域のエネル​ギーインフラに与えた損害を考えると、経済的影響は短期間で終わらないという認識が広まりつつある。

経済協力開発機構(OECD)シンクタンクは先週、紛争が世界経済成長に与える影響を定量化するには時期尚早だとしながらも、世界経済には「相当な下振れリスク」があると指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

欧州委、ロ産原油輸入停止法案先送り 「地政学的状況

ワールド

米TSA職員450人超辞職、2月政府閉鎖以降 空港

ワールド

世界経済フォーラム、サウジで4月開催の会議延期 「

ワールド

中国外相、和平交渉の早期開始呼びかけ イランのアラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下位になった国はどこ?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 6
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 7
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 8
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 9
    表情に注目...ニコール・キッドマン、大富豪夫妻から…
  • 10
    イラン戦争、トランプを泥沼に引きずり込む「5つの罠…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中