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焦点:市場によぎった休減債リスク、「日米連携」奏功も くすぶる火種

2026年01月28日(水)13時49分

写真は円紙幣とイメージ。2022年6月撮影。REUTERS/Florence Lo

Takaya ‍Yamaguchi

[東京 28日 ロイター] - 与野党が消費税減‌税を掲げて衆院選に突入する中での金利急騰は、市中向け国債入札の休減債リスクを一時、意識させた。並走した円安に日米当局が連携して対処する姿が不安‌心理を和らげ、難を逃れた格​好だ。この日の40年債入札は波乱なく終えたが、基幹税の減税には国際社会から厳しい目線が向けられやすく、火種がくすぶる状況に変わりない。

<漂う疑心暗鬼>

「入札は予定通りに行われるのか」。40年債利回りが初めて4%に乗せた翌21日、顧客からこうした照会があったと外資‌系証券関係者の1人は明かす。

高市早苗首相が19日に衆院解散を表明して以降、日本国内の金利上昇は急ピッチだった。消費税減税に伴う財政不安に加え、デンマーク自治領グリーンランドを巡る米国発の金利上昇要因もあった。

21日には、財務省が40年物で4000億円程度の入札を28日に実施すると通告していた。「休債(入札の延期)や減債(発行予定額の減額)はないかという疑心暗鬼が脳裏をよぎった」と前出の関係者は語る。

トリプル安に見舞われた米国のベセント財務長官が20日、日本の金利急騰をけん制したことも波紋を広げ​ていた。「財務省や日銀が対応を迫られるとの見方が市場を覆った⁠」と別の関係者は振り返る。

<円高で安心感>

とはいえ、異例の対応を取れば、かえっ‍て国際社会に誤ったメッセージを送ることになりかねない。金利・為替対策に傾注するあまり、株価が値崩れするようだと選挙戦にも響く。

民主党政権時の2011年3月には、東日本大震災後の円急騰を踏まえ、主要7カ国(G7)と円売りの協調介入にこぎ着けた。当時は債券市場も混乱に見舞われたが、国債‍入札は予定通りに行った経緯がある。

市場では、日銀による臨時の国債買‍い入れな‌どの金利抑制策も取りざたされた。ただ、不用意にこうした手法‍に傾けば、市場で財政ファイナンスと受け止められ、かえって不測の混乱を招く懸念を伴う。

そうした中で行われた為替市場への口先介入と、それに続く米金融当局によるレートチェックの報道は為替だけでなく「金利を含め、市場を落ち着かせるのに効果があった」(外銀幹部)と受け止められた。結果として、40⁠年債入札は強めの結果となり、波乱なく終わった。

<なお残る火種>

財務省は4月から、財政規律に敏感な20年、30年、40年物の入札発行額を再び減額⁠し、市中消化の安定化につなげたい考え。市中‍向けに新規発行する超長期国債の26年度発行額は17.4兆円と、17年ぶりの低水準となる。

もっとも「3カ月先の減額より目先の入札」(別の証券関係者)との懸念も残り、年度末まで無風​でいられるかは不透明感が漂う。2月5日には30年物での国債入札を控える。

減税財源を巡り、首相は赤字国債に頼らない姿勢を強調したが、市場の疑念は拭いきれていない。2月8日投開票の選挙戦と並行して、金利急騰への対処を迫られるリスクは依然として残っている。

ロイター
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