ニュース速報
ビジネス

米FRB当局者、利下げ想定も景気後退は見込まず

2024年08月06日(火)10時45分

米連邦準備理事会(FRB)の当局者らは5日、7月雇用統計の弱い内容を勘案しても崖から落ちるような景気後退が起きているわけではないとの認識を示した。写真はワシントンのFRBで2022年6月撮影(2024年 ロイター/Sarah Silbiger)

Lindsay Dunsmuir Ann Saphir

[5日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の当局者らは5日、7月雇用統計の弱い内容を勘案しても崖から落ちるような景気後退が起きているわけではないとの認識を示した。そうした状態に陥らないためにも利下げが必要だと指摘した。

サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、雇用統計を精査すると「経済は減速しているが崖から落ちている状態ではないとの確信が多少強まる」と説明した。

今後の会合での金利調整に当局者はかなり前向きだとし、変更の時期や程度は今後の経済指標次第と述べた。9月半ばの次回連邦公開市場委員会(FOMC)までに多くのデータが控えているとした。

労働市場が「低迷に陥るまで減速しないよう図ることが極めて重要」とも語った。

<世界株安の政策的示唆は限定的>

5日の米国株式市場は大幅続落。FRBが利下げを先延ばしし過ぎたとの懸念が強まった。市場ではFRBが9月に0.5%ポイントの大幅利下げをするとの見方が大勢になっている。

シカゴ地区連銀のグールズビー総裁はこの日、CNBCとのインタビューで、世界同時株安から過度に多くの政策的示唆を得るべきではないとの見解を表明。日銀が先週決めた利上げや中東の地政学的緊張の高まりも株安の要因になっているとした。

FRBの責務は物価安定と雇用の最大化と法律で定められているが、「株式市場に関する規定は何もない」と述べた。

それでも、市場が経済の方向転換を示唆している可能性をFRB当局者は認識する必要があると指摘。

「市場の動きから、長いスパンで見て経済の減速が示唆されるならわれわれはそれに対応する必要がある。雇用統計の数字が予想より弱くても景気後退がまだ想定されない状況で、経済の今後の方向性を見越して決定を行う必要がある」と語った。

<臨時会合>

グールズビー氏は臨時会合を開いて利下げをする可能性について問われ、FRBが雇用とインフレ、金融安定に引き続き重点を置いているため、あらゆる選択肢が検討対象になるとした。雇用やインフレ、金融安定の一つでも総合的に悪化傾向が確認できれば「われわれがてこ入れする」とした。

臨時会合での利下げは通常緊急時に実施する。グールズビー、デイリー両氏とも臨時会合を想定する姿勢は示さなかった。

*写真を差し替えて再送します。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ミランFRB理事の反対票、注目集めるもFOMC結果

ワールド

中国国防相、「弱肉強食」による分断回避へ世界的な結

ビジネス

前場の日経平均は反発、最高値を更新 FOMC無難通

ワールド

ガザ情勢は「容認できず」、ローマ教皇が改めて停戦訴
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中