ニュース速報
ビジネス

物価が基調的に2%近傍で上昇し続けるには「相応の時間」=野口日銀審議委員

2024年04月18日(木)11時59分

 4月18日、日銀の野口旭審議委員は、物価が基調的に2%近傍で上昇し続ける状況に至るまでには「相応の時間を要する」と述べた。写真は日銀本店。都内で3月撮影(2024 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takaya Yamaguchi

[佐賀市 18日 ロイター] - 日銀の野口旭審議委員は18日、物価が基調的に2%近傍で上昇し続ける状況に至るまでには「相応の時間を要する」と述べた。政策金利の調整ペースに関し、「他の主要中央銀行の最近の例とは比較にならないほどゆっくりとしたものになることが予想される」との認識も示した。佐賀県金融経済懇談会での挨拶内容を公表した。

経済環境を巡り、野口委員は「バブル崩壊以降、ながらく続いてきた名目成長なきデフレ型経済からようやく離脱しつつある」と指摘した。

一方で「目を引くのは個人消費の弱さ」とし、「コロナ禍後のペントアップ需要が一巡する中で、インフレによる実質賃金の低下が実質消費の押し下げ要因として働いてきたためと考えられる」と語った。

こうした傾向が払拭されるには「実質賃金が上昇へと転じていくことが必要。消費者物価上昇率が2%近傍で安定していく一方で、名目賃金上昇率が2%を超えて高まっていくことが重要」との見方も示した。

物価安定2%目標が持続的・安定的に実現されるためには「2%を明確に上回る名目賃金上昇がトレンドとして定着する中で、サービス価格が上昇し続けることが必要」と言及。賃金と物価の好循環が進ちょくし、2%の物価安定目標が見通せる段階となれば「縮小ないしは解除されていく」と述べた。

今後の金融政策を巡り、「政策金利の段階的な引き上げ、国債購入額の調整を通じたバランスシート調整などが、情勢を慎重に見極めつつ行われることになる」との選択肢も示した。

もっとも「日銀が今後も緩和的な金融政策を継続することを通じて労働需給の適切なバランスを保ち続けることこそが、物価目標達成のための必須の要件」との考えも示し、次の一手に慎重な姿勢をにじませた。

野口委員は、政策金利の最終到着点である長期中立金利に関し、「他国対比では高くなるよりも低くなる可能性が高い」との見方も併せて示した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

貿易収支、11月は予想上回る黒字幅 対米輸出8カ月

ビジネス

日経平均は小幅反発で寄り付く、米雇用統計を通過 短

ワールド

トランプ氏、ベネズエラ出入りの制裁対象タンカー封鎖

ワールド

ザポリージャ原発、2本のうち1本のみの送電線で稼働
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中