ニュース速報

ビジネス

EUと韓国、米EV購入税控除に懸念表明 「WTO違反」

2022年08月12日(金)12時50分

欧州連合(EU)は、米上院が7日に可決した歳出・歳入法案に盛り込まれているEV購入者の税額控除について、WTO規則に違反する恐れがあるとの懸念を表明した。昨年5月、ブリュッセルで撮影(2022年 ロイター/Yves Herman/File Photo)

[ブリュッセル 12日 ロイター] - 欧州連合(EU)と韓国は、米上院が7日に可決した歳出・歳入法案に盛り込まれている電気自動車(EV)購入者の税額控除について、世界貿易機関(WTO)規則に違反する恐れがあるとの懸念を表明した。

法案ではEV購入者に対する既存の7500ドルの税額控除の上限を撤廃するが、北米で組み立てられていない車両は控除を受けられないなどの制限が課される。

EUの執行機関である欧州委員会のフェレール報道官は11日、EV購入者の税額控除について記者会見で「米国以外の製造業者に対し差別的だと考えている。これは当然、WTO規則と相容れない可能性があることを意味する」とし、「EUは米国に対し、法案からこうした差別的な要素を取り除き、WTO規則を順守するよう呼びかける」と述べた。

韓国も11日、同法案がWTOのルールや2国間の自由貿易協定(FTA)に違反する可能性があるとして、米国に懸念を表明したと発表した。産業通商資源省は声明で、バッテリー部品と自動車の最終組み立て要件を緩和するよう米政府に要請したと明らかにした。

同省は現代自動車やバッテリーメーカーのLGエナジー・ソリューション、サムスンSDI、SKと協議した。声明によると、各社は米市場で競争上不利にならないよう韓国政府に支援を求めた。

韓国自動車産業協会(KAMA)は12日、米下院に書簡を送り、韓国で製造されたか組み立てられたEVとバッテリー部品は米韓FTAに基づき、税制優遇措置の対象に含めるよう要請したと発表した。

現代自は法案により米国でのEV利用や選択肢が著しく制限され、持続可能な移動手段への移行が大幅に遅れる可能性があると指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベラルーシ大統領、米との関係修復に意欲 ロシアとの

ビジネス

ECBが金利据え置き、4会合連続 インフレ見通し一

ワールド

ロシア中銀、欧州の銀行も提訴の構え 凍結資産利用を

ビジネス

英中銀、5対4の僅差で0.25%利下げ決定 今後の
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中