ニュース速報

ビジネス

アングル:企業預金、マイナス金利適用なら自社金庫や外債運用も

2016年03月24日(木)09時30分

3月24日、3月ロイター企業調査によると、マイナス金利政策を受けて、金融機関が企業預金に手数料ないしマイナス金利を適用した場合、現金を引き出す企業が全体の15%程度に上るという。都内で2月撮影(2016年 ロイター/THOMAS PETER)

[東京 24日 ロイター] - 3月ロイター企業調査によると、日銀が導入したマイナス金利政策を受けて、金融機関が企業預金に手数料ないしマイナス金利を適用した場合、現金を引き出す企業が全体の15%程度にのぼる可能性があることが明らかとなった。

そうした企業では、自社金庫での現金保管や、外債運用などへの切り替えを検討している。

金融機関では貸出金利や資金運用益の低下に対応した収益確保のため、企業預金にマイナス金利や手数料を課すことも想定している。3月ロイター企業調査では、大企業400社を対象に、こうした事態にどう対応するか聞いたところ「そのまま預金として保持」と回答した企業は85%に達したが、「現金を引き出す」との回答も15%にのぼった。

金融機関にとって、預金流出で資金繰り難に陥るか否かは、その流出規模とスピードにもよる。大手銀行の中には「預金の1割が1日で流出した場合には資金繰り難に陥るリスクもケースもある」(関係者)との見方もある。

とはいえ、金融機関が手数料などを設定する際には、事前に流動性確保ための工夫や企業とのコミュニケーションを図るため、実際には預金流出は起こらないというのが大方の金融機関の想定となっている。

ただ、今回の調査結果のように15%に当たる企業が預金を引き揚げた場合、引き出す金額の割合やスピード次第では、金融機関の流動性に影響が出る可能性を全く否定することもできないようだ。

企業からの回答では、具体的に「手数料のかからない所に預け替えするとか、自社金庫での保管を検討」(小売業)、「貸金庫で使用料を取られるなら意味がないので、自社内しか選択肢がない」(サービス)、「現金を自社金庫内に保管する」(サービス)など、自社の金庫という回答が目立った。

また、いったん引き出した後に「外貨預金に分散させる」(卸売)、「外貨建て債務と相殺できる通貨で外債を購入」(電機)、円預金から外貨建ての運用に切り替える予定の企業もある。

「親会社で海外預金も含めて運用」(卸売)、「CMS(キャッシュマネジメントシステム)の活用を検討」(小売)といった回答もあり、資金の効率的な活用により、余剰資金としての預金を減らす工夫も念頭にあるようだ。

(中川泉 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

大企業の業況感は小動き、米関税の影響限定的=6月日

ビジネス

マスク氏のxAI、債務と株式で50億ドルずつ調達=

ワールド

米政府、資源開発資金の申請簡素化 判断迅速化へ

ワールド

訂正-セビリアで国連会議開幕、開発推進を表明 トラ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 4
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中