コラム

中国人女性と日本人の初老男性はホテルの客室階に消えていった

2019年10月28日(月)16時05分

日本がこのように怪しい人物の暗躍を許してきたのは、政界の親中派を中心とした中国との関係改善ムードづくりと無関係でない。しかし中国は日本の善意に善意で応えない。最近、発覚した北海道大学教授の拘束劇が彼らの冷酷さを物語っている。

北大は旧帝大の1つで名門大学として名高い。拘束された法学部教授は中国近現代史の専門家で、次世代を担うホープの1人と見なされてきた。9月3日から中国を訪れ、約2週間滞在した後、北京市内で拘束されたと報じられている。

今回も日本政府の対応は後手に回っている。約1カ月もたってから情報公開し、救出への積極姿勢も見られない。2015年以降、スパイの嫌疑で中国によって拘束された日本人は計13人に上る。だが、日本政府はどんな努力をしているのか国民に説明してこなかった。

日本政府は北朝鮮による日本人の拉致問題を重視している。主権国家として当然だが、明確な証拠も情報開示もしない中国政府に監禁されている同胞救出には冷淡な態度を続けている。国際社会ではとても理解されないだろう。

<2019年11月5日号掲載>

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プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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