最新記事
ICE

トランプは「プロの扇動者」と決めつけるが...ICEが射殺した女性は本当に「テロリスト」だったのか

Dangerous Rhetoric

2026年1月13日(火)17時00分
モリー・オルムステッド (スレート誌記者)
ICE職員が女性に発砲し死亡させた事件の現場

1月7日にICE職員が女性に発砲し死亡させた事件の現場(ミネアポリス) CHRISTIAN ZANDERーNURPHOTOーREUTERS

<トランプ陣営は「極左」のせいと非難したが、拡散された殺害時の動画をみると、それが嘘なのは一目瞭然だ>

2020年に黒人男性のジョージ・フロイドが白人警官による暴行で死亡し、BLM(黒人の命は大事)運動の発端となった米ミネソタ州ミネアポリスで1月7日、再び衝撃的な事件が起きた。車を運転中の女性が移民関税執行局(ICE)の職員に発砲され、死亡。その状況を捉えた動画がSNSで拡散されたのだ。

だが、ドナルド・トランプ米大統領は自身のSNSで、「女性は明らかにプロの扇動者だった。(ICEの職務を)妨害して抵抗し、暴力的かつ故意にICE職員を車でひいた。職員が発砲したのは自衛のためとみられる」と主張し、こう続けた。「こんな事件が起きるのは、極左が毎日のようにICE職員を攻撃し、標的にしているからだ」


動画を見れば、この説明は嘘だと分かる。地元紙がレネー・ニコール・グッド(37)と報じた被害女性は、ICE職員を車でひいてはいなかった。職員がいる方向と逆に車を発進させた後、職員から車内に数回発砲されていた。

にもかかわらず、MAGA(アメリカを再び偉大に)派は、被害女性は脅威を与えたのであり、殺害されたのは致し方ないという見解を事件直後から発信し続けている。

米国土安全保障省は公式声明で、「暴徒の1人が自身の車を武器化し、法執行官をひこうとした。これは国内テロ行為だ」と主張。FOXニュースのコメンテーター、トミ・ラーレンは、「(民主党の)指導者らが極左の活動家に平和的な行動を促していれば、こんな対立は起きなかった」と発言した。

資産運用
「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒れる今こそ投資家が目を向ける「世界通貨」とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、テキサス州空港の発着禁止を解除 カルテル無人機

ワールド

トランプ氏、USMCA離脱を検討=報道

ビジネス

米雇用創出、86.2万人下方修正 25年3月までの

ワールド

NATO、北極圏プレゼンス強化で新任務 加盟国間の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 5
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 6
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 9
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中