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トランスジェンダーの移動の自由を奪う? パスポートの性別変更を凍結したトランプ政権

A HORRIFYING ORDER

2025年2月4日(火)15時30分
デービッド・マック(ライター)

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ノンバイナリーにとってパスポートは単なる旅券以上の意味を持つが AP/AFLO

パスポートに関する新政策の影響がどこまで広がるかは分からない。現時点では、既に発給されたパスポートを無効化しようとする動きは見られないものの、ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官はニュースサイト「NOTUS」に対し、「パスポート更新の申請はできる。ただ、出生時に決定された、神から授かった性別を使用しなければならないだけだ」と主張した。

LGBTQ+(性的少数者)の公民権擁護団体「ラムダ・リーガル財団」の弁護士、カール・チャールズは、レビットが宗教的な表現を用いたことが政策の本質を雄弁に物語ると指摘する。「こうした政策が、憎悪に突き動かされたものであることを如実に示している」と、チャールズは言う。「その動機は、今の政権および政権の全ての支持者が信奉する、非科学的なイデオロギーをいかに推し進めるかということだ」


Lにとって、この混乱は極めて現実的なものだ。彼は以前、新たな性自認に基づくパスポートを取得したが、そこには改名した新しい名前が記載されていない。そのため、更新の申請をすればパスポートを押収されることになるのではと懸念している。オーストラリアの友人たちを訪れる計画は無期限で延期中だ。

「自分に合わない名前で呼ばれるのは嫌だし、身分証明書の名前と今の名前が一致しないことも心配だ。旅行の際に名前変更を証明する書類を持ち歩かなければならないのかなど、不確定なことが多くて気がめいる」と、Lは語った。

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