最新記事
犯罪

「万引き天国アメリカ」驚きの日常...1000ドルまでは罰則なし、列車強盗も24時間内に釈放

2024年7月22日(月)10時58分
長野弘子(在シアトル)
外れた手錠

lechenie-narkomanii-Pixabay

<アップルストアで500点近くの商品が盗まれ、被害額は約8000万円。試験中に預けた高機能スマホはクラスメイトに盗まれる。万引き増加の原因は?>

「まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50」昨年4月、米ワシントン州のアップルストアで496台もの電子機器が盗まれ、推定50万ドル(約8000万円)の被害が出た。

この事件は、全米で多発している転売目的の集団窃盗事件の一例にすぎない。ほとんどの小売店では顧客や店員の安全を考えて万引犯を追及しない方針を取っているため、犯人が商品を積んだカートと共に堂々と店を出ていっても、店員はただ見ているだけだ。


また、500ドル未満の窃盗が重犯罪になるのはニュージャージー、イリノイ、ニューメキシコの3州のみで、多くの州では1000ドル以下では罰せられない。

こうした政策が犯罪を助長する一因となり、2022年のニューヨーク市での万引は前年比45%増の約6万4000件、ロサンゼルス市では前年比44%増の約1万5500件となった。

小売店だけではなく、貨物列車の荷物を狙った強奪も急増し、ロサンゼルス郡では前年比で160%増加。100人以上が逮捕されたが、24時間内に釈放されている。

学校でも窃盗が蔓延し、試験の際に預けた高機能の携帯電話をクラスメイトに盗まれるのは日常茶飯事。万引天国アメリカで道徳心を育てるのには、長い時間がかかりそうだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB0.25%利下げ、3会合連続 3人が決定に反

ビジネス

FRBに十分な利下げ余地、追加措置必要の可能性も=

ビジネス

米雇用コスト、第3四半期は前期比0.8%上昇 予想

ワールド

米地裁、トランプ氏のLAへの派兵中止命じる 大統領
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中