最新記事
英王室

アメリカでも「嫌い」が上回ったヘンリー王子、ビザ失効の可能性も

Prince Harry Facing Rising Hostility to Living in America

2023年3月23日(木)15時45分
ジャック・ロイストン

今ではイギリスにいた頃より不人気なヘンリー王子とメーガン妃(2022年12月、ニューヨーク) Andrew Kelly-REUTERS

<回顧録のなかで暴露した詳細な薬物体験のせいでアメリカ追放の危機>

英王室を離脱したヘンリー王子の回顧録『スペア』は英王室の実態を暴いた「暴露本」としてメディアを騒がせ、王室関係者を戦々恐々とさせている。だが、そこに書かれた「赤裸々な告白」が当のヘンリーを窮地に追い込む可能性もある。

人命軽視とも取れるアフガニスタンでの戦闘経験や、ペニスが「軽い凍傷」になったとのエピソードもさることながら、アメリカの有力シンクタンクが問題にしたのは麻薬使用に関する告白だ。事と次第によっては、ヘンリーはアメリカから追い出されることになりかねない。

首都ワシントンに本拠を置く保守系シンクタンク・ヘリテージ財団は、米当局にヘンリーのビザ申請手続き関連の書類を開示するよう求めている。同財団が問題にしているのは、ビザの審査に当たり、当局が規定に従ってヘンリーに違法薬物の使用に関する質問をしたかどうかだ。

ヘンリーが取得した長期滞在ビザは「薬物使用により失効する可能性がある」と、ヘリテージ財団の監視プロジェクトを率いるマイク・ハウエルは英紙デイリー・メールに語った。「問題は、王子の入国に当たり適正な審査が行われたどうかだ。それを確認するための書類公開は公共の利益にかなう」

歓迎ムードも今は昔

ヘンリーと妻のメーガン妃は2020年にイギリスを去り、アメリカに移住した。2人によると、英メディアに追い回され誹謗中傷にさらされることに疲れたからだが、王室はメディアの猛攻から自分たちを守ってくれなかったと夫妻は主張している。

夫妻が特に問題にしたのはタブロイド紙だ。プライバシーに無遠慮に踏み込み、悪意に満ちた記事を書くとして、王子とメーガン妃はその編集方針に怒りを隠さない。

アメリカに逃れれば、王子一家は落ち着いた生活を送れるだろうとの見方もあったが、今のところ新天地のカリフォルニアでの生活も平穏とは言えない。特に『スペア』が出版されて以降、夫妻への風当たりはきつくなった。

当初アメリカの世論は夫妻の移住を歓迎していたが、その後歓迎ムードは薄れ、夫妻の好感度はダダ下がりだ。今では2人とも、イギリスを去る前のイギリス人からの評価よりも、厳しい評価を受けている。

本誌の委嘱でコンサルティング会社レッドフィールド&ウィルトンが今年1月に行なった世論調査では、「メーガン妃は嫌い」と答えたアメリカ人は39%で、「好き」と答えた26%を大きく上回った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「ウクライナはモスクワ攻撃すべきでない」

ワールド

米、インドネシアに19%関税 米国製品は無関税=ト

ビジネス

米6月CPI、前年比+2.7%に加速 FRBは9月

ビジネス

アップル、レアアース磁石購入でMPマテリアルズと契
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中