最新記事

韓国

韓国で、ふたたび盛り上がる「日本就職」。日本を目指す若者は日本人が考えるよりはるかに多い

2022年11月17日(木)17時40分
佐々木和義

韓国で開催された日本企業の面接会 撮影:佐々木和義

<新型コロナ禍の規制が解け、ふたたび日韓の往来が再開し、韓国で「日本就職」が再び盛り上がっている......>

新型コロナウイルス感染症の鎖国が解けた韓国で「日本就職」が再び盛り上がっている。大韓貿易振興公社KOTRAと韓国雇用労働部、韓国産業人力公団が11月10日と11日、ソウル瑞草区のaTセンターで海外就職博覧会を開催した。

11月12日と13日には韓国貿易協会とマイナビがソウル・江南のCOEXで2019年以来3年ぶりとなる対面式のオフライン合同面接会を実施した。物価高と円安で初任給格差がほとんどないなか、日本企業への就職を目指す若者は日本人が考えるよりはるかに多い。

韓国政府は海外就業を支援、4割以上を日本に

韓国政府は15歳から29歳の青年失業率が10%に達した2018年3月、2022年までに1万8000人の若者の海外就業を支援する方策を発表し、4割以上を日本に割り当てた。

日本は有効求人倍率が1.5倍を超え、失業率が自然失業率を下回るなど人材不足が課題となっていた。韓国で就職できない若者が日本の人材不足を補うかたちとなって、前年の2017年には就業ビザを取得して日本で就労する韓国人が2万人を突破した。

韓国の政府機関や自治体が、日本企業が求める人材育成講座を開設し、さらには就職に伴う転居費用などを支援した。また、多くの大学が日本就職講座を開設するなど官学挙げて日本就職に取り組んだ。

2019年下期にノージャパンが拡がると、政府や自治体、大学の日本就職支援は縮小したが、日本就職を目指して準備してきた大学生が目標を変えられるものではない。日本就職を目指す学生の多くが地道な努力を続けてきた。

KOTRAと韓国雇用労働部、韓国産業人力公団は20回目となる海外就職博覧会を2019年以来3年ぶりにオフラインで開催した。世界12か国から参加した126社のうち、日本企業が53社で最も多く、1000人を超える学生などが事前登録を行った。

韓国貿易協会とマイナビは、日本現地就職博覧会「CareerinJapan2022KOREAvol.2」を開催した。19年に開催した「CareerinJapan2019KOREA」には楽天やアマゾンなど45社が参加して書類審査に合格した約2000人の学生が面接を受けていた。

3年ぶりのオフラインとなった今回は日産自動車、ソフトバンク、パーソルR&D、EY新日本有限責任監査法人、三浦工業など21社が参加した。事前の書類審査を通過した大学や大学院の卒業予定者など約150人が1人平均2社、約300件の面接を受けたという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

三井物産、26年3月期は14%減益見込む 市場予想

ビジネス

エアバスCEO、航空機の関税免除訴え 第1四半期決

ビジネス

日銀、無担保コールレート翌日物の誘導目標を0.5%

ワールド

日韓印とのディール急がず、トランプ氏「われわれは有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 3
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中