最新記事

日韓関係

韓国財界が日韓通貨スワップ再開を求めるわけ

2022年7月13日(水)15時44分
佐々木和義

6月29日、NATO首脳会合でバイデン大統領をはさんで韓国の尹錫悦大統領と岸田文雄首相の会談が行われた......EUTERS/Jonathan Ernst

<韓国の財界を中心に日韓通貨スワップの再開を求める声が上がっている......>

2022年7月4日、日本経済団体連合会(経団連)代表と韓国最大の経済団体である全国経済人連合会(全経連)代表がソウルで財界会議を開催した。

会議では日韓首脳会談の早期実現や輸出規制の廃止、ビザ相互免除の復活、韓国のCPTPP=アジ太平洋地域経済連携協定加入などについて意見が交わされ、日韓通貨スワップの再開が提起された。

韓国の財界を中心に日韓通貨スワップの再開を求める声

経団連と全経連は1983年から毎年会議を開いてきたが、日韓関係の悪化と新型コロナウイルスの影響から2020年と2021年は見送られ、3年ぶりの開催となった。

日本からは住友化学の十倉雅和経団連会長らが出席、韓国からはGSグループの許昌秀(ホ・チャンス)会長など全経連の会長団に加えて、全経連に加盟していないサムスンや現代自動車、LG、SKといった4大財閥グループの代表も出席した。

許昌秀会長が会議の席上、「韓日首脳会談が早く開かれ、相互輸出規制廃止、韓日通貨スワップ再開、韓国のCPTPP加入など懸案が一度に解決されることを願う」と述べるなど、韓国の財界を中心に日韓スワップの再開を求める声が上がっている。

日韓関係は悪化で二国間通貨スワップも終了

日本と韓国は2001年、チェンマイ・イニシアチブ(CMI)に基づいて通貨スワップを締結した。2000年5月、タイのチェンマイでASEAN+3財務相会議が開催され、参加各国は1997年から広がったアジア通貨危機の教訓から二国間通貨スワップのネットワークを構築することで合意した。

2001年7月4日、日本の財務省と韓国銀行は、20億ドルを上限に日本が韓国を支援する片方向の通貨スワップを締結し、2006年2月4日に日本から韓国は100億ドル、韓国から日本は50億ドルを上限とする双方向のスワップに切り替えた。

2005年5月には、日本銀行と韓国銀行がCMIと別枠で30億ドル相当を上限とする円-ウォン通貨スワップを締結した。

韓国経済がリーマンショックの影響で萎縮した2008年、中央銀行のスワップを200億ドルに増額。11年には300億ドル相当に増額したほか、別枠で300億ドルの米ドルスワップを締結した。日韓の通貨スワップは700億ドル相当に拡大した。

しかし、翌12年8月に李明博が竹島に上陸すると日韓関係は悪化の一途を辿り、中央銀行間の通貨スワップは期限を迎えた13年7月3日に延長することなく終了、CMIの2国間通貨スワップも15年2月3日の期限とともに終了した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中