最新記事

ウクライナ情勢

ウクライナ、ロシア軍の弾薬庫破壊 南部奪還に向け大規模攻勢へ

2022年7月13日(水)09時56分
東部ドンバス地域を移動するウクライナ軍の戦車

ウクライナ軍は、南部へルソン州のロシア占領下にある町ノバカホフカのロシア軍と弾薬庫を11日深夜に長距離ロケット砲で攻撃したと発表した。写真は東部ドンバス地域を移動するウクライナ軍の戦車(2022年 ロイター/Gleb Garanich)

ウクライナ軍は12日、南部へルソン州のロシア占領下にある町ノバカホフカのロシア軍と弾薬庫を11日深夜に長距離ロケット砲で攻撃したと発表した。ウクライナ側は数十万人の兵士を動員した反撃で、この地域の奪還を計画している。

軍によると、この攻撃でロシア軍で52人が死亡、弾薬庫のほか、軍事車両なども破壊した。ウクライナは米国から供与された高機動ロケット砲システム「ハイマース」による効果的な攻撃ができているとしているが、国防省は使用した武器についてコメント要請に応じていない。

ただ、ロシア側が現地に一方的に設置した軍民行政府は、今回の攻撃で少なくとも7人が死亡、70人が負傷し、民間人と民間のインフラ施設が攻撃を受けたと説明。ウクライナ軍がハイマースで肥料や火薬の原料になる化学物質を貯蔵する倉庫を攻撃し大規模な爆発が起きたと発表した。

ロシアのタス通信はその後、爆発による火災は鎮火したと伝えた。

ウクライナは、黒海へのアクセスという戦略的重要性を持つ南部地域をロシア軍から奪還するため、最大100万人の兵士を動員するとしている。

トルコのアカル国防相は12日、同国およびロシアとウクライナの軍代表が13日に国連の代表とイスタンブールで会合し、ロシアとの戦争でウクライナに滞留する穀物の安全な輸出の再開に向けて協議すると明らかにした。

国連のグテレス事務総長は、黒海での穀物輸出の再開に向けた協議について「努力しているが、まだ道半ばだ」とコメントした。

国連人権事務所(OHCHR)は12日、ロシアが2月24日に侵攻を開始して以来、ウクライナで死亡した民間人が5000人を超えたと発表した。ただ、実際の犠牲者数はこれをはるかに上回る可能性が高いとの見方を示した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、原油価格抑制呼びかけ 「敵の術中に陥る

ビジネス

再送-7月利下げ支持、インフレ圧力抑制なら=ボウマ

ワールド

NATO加盟国、防衛費GDP比5%に引き上げへ=事

ビジネス

米中古住宅販売、5月0.8%増 予想外に増加も低調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 8
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    【クイズ】次のうち、中国の資金援助を受けていない…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 10
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中