最新記事

ウクライナ情勢

ロシア軍の撤退したキーウ近郊に民間人410人の遺体 ウクライナ「大虐殺」と強く非難

2022年4月4日(月)10時00分
キーウ近郊ブチャの市街

ウクライナの検察当局は首都キーウ(キエフ)近郊の複数の地域で計410人の遺体を発見したと明らかにした。写真は2日、キーウ近郊ブチャで撮影(2022年 ロイター/Zohra Bensemra)

ウクライナは3日、ロシア軍が撤退した後の首都キーウ(キエフ)近郊のブチャで民間人とみられる多数の遺体が見つかったことについて、ロシアによる「大虐殺」だと強く非難した。欧米各国からは、対ロ制裁をさらに強化すべきだとの声が高まった。

ウクライナの検察当局は3日、ブチャを含むキーウ近郊の複数の地域で計410人の遺体を発見したと明らかにした。ブチャの市長は、ロシア軍の支配下で住民300人が殺害されたと述べた。

ゼレンスキー大統領は、米CBSの番組でロシア軍による「ジェノサイド(集団殺害)だ」と批判した。


ウクライナのクレバ外相はツイッターへの投稿で「ブチャの虐殺は意図的だった」と強く非難。ロシアによる戦争犯罪の証拠を集めるよう国際刑事裁判所(ICC)要請したと明らかにした。

ブリンケン米国務長官は、殺害された人々の映像は大きな衝撃だと述べ、戦争犯罪に対する責任を追及する必要があると強調した。

グテレス国連事務総長も映像に「大きな衝撃」を受けていると述べ「独立した調査によって、説明責任がしっかりと果たされることが不可欠だ」と指摘した。

ドイツのランブレヒト国防相は、欧州連合(EU)がロシア産ガスの輸入禁止を議論すべきだと主張した。

一方、ロシア国防省は殺害された人々の映像や写真は「仕組まれたパフォーマンスだ」と非難している。

戦闘は3日も続き、ロシア軍は南部オデーサをミサイルで攻撃し、石油精製所を破壊したと発表した。オデーサ市議会は重要なインフラ整備が破壊されたと明らかにした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マスク氏、「年中無休」で仕事を再開と表明 Xの障害

ビジネス

アングル:米輸入企業、「保税倉庫」確保に奔走 トラ

ワールド

ロシア、捕虜交換完了後に和平案を提示する用意=外相

ワールド

トランプ氏、日鉄のUSスチール買収承認の意向 「計
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非礼すぎる」行為の映像...「誰だって怒る」と批判の声
  • 2
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンランドがトランプに浴びせた「冷や水」
  • 3
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友情」のかたちとは?
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 6
    【クイズ】PCやスマホに不可欠...「リチウム」の埋蔵…
  • 7
    備蓄米を放出しても「コメの値段は下がらない」 国内…
  • 8
    空と海から「挟み撃ち」の瞬間...ウクライナが黒海の…
  • 9
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
  • 10
    メーガン妃のネットショップ「As Ever」の大誤算とは…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 3
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 7
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 8
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 9
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 10
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中