最新記事

パンデミック

米情報機関、コロナ起源問題の「武漢ウイルス研究所」に関わる内部報告で調査中

2021年5月25日(火)08時29分

米情報機関は、中国の武漢市で初の新型コロナウイルス感染が報告される1カ月前の2019年11月、武漢ウイルス研究所(写真)の研究者3人の体調が非常に悪化し、病院で診療を受けていたとの内部報告について、詳しい調査を進めている。複数の米政府関係者が明らかにした。写真は2月撮影(2021年 ロイター/Thomas Peter)

米情報機関は、中国の武漢市で初の新型コロナウイルス感染が報告される1カ月前の2019年11月、武漢ウイルス研究所の研究者3人の体調が非常に悪化し、病院で診療を受けていたとの内部報告について、詳しい調査を進めている。複数の米政府関係者が明らかにした。

この報告内容は、トランプ前政権下で極秘扱いの情報として示されたもの。米紙ウォールストリート・ジャーナルが23日に初めて伝えた。3人の研究者が入院したか、具体的にどんな症状だったのかは分かっていない。関係者は、研究所からウイルスが流出したとまだ証明されたわけではないとくぎを刺した。

サキ米大統領報道官は24日、「(ウイルスの)起源について結論を下すには情報が足りない。われわれにはデータと第三者の調査が必要で、まさにそれを要求しているところだ」と語った。

中国外務省の報道官は同日、3人の研究員が病気になったというのは「完全な偽り」だと強く否定した。

新型コロナウイルスの発生源を巡っては激しい論争が続いている。3月に中国の科学者と世界保健機関(WHO)主導の武漢視察チームが共同で公表した報告書では、ウイルスは恐らくコウモリから別の動物を介して人に感染したとみられ、研究所からの流出が起源になった公算は非常に小さいと記された。

米政府関係者の1人は、米国の情報機関は「どちらの説も否定していない」と述べ、武漢の研究者が19年11月にウイルスに感染した可能性があるとの報告は米国の研究者にとっても無視できない存在になっていると付け加えた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イランガス田にも攻撃 応酬続く 米・イ

ワールド

米首都で34年ぶり軍事パレード、トランプ氏誕生日 

ワールド

米ミネソタで州議員が銃撃受け死亡、容疑者逃走中 知

ワールド

再送-米ロ首脳、イスラエル・イラン情勢で電話会談 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中