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中国で外国小売りブランド相次ぎ「炎上」 ウイグル問題めぐりやり玉に

2021年3月26日(金)09時24分

中国のソーシャルメディアでは25日、外国の小売りブランドに対する批判が広がった。H&Mの過去の声明がやり玉に挙げられたのが発端。北京の店舗で25日撮影。(2021年 ロイター/Florence Lo)

中国のソーシャルメディアでは25日、外国の小売りブランドに対する批判が広がった。スウェーデンのファストファッション大手H&Mが中国・新疆ウイグル自治区における強制労働に「深い懸念」を表明した過去の声明がやり玉に挙げられたのが発端だ。

H&Mは過去に、新疆で強制労働が行われているとの市民団体やメディアの報告について「深く懸念」しており、新疆から製品は調達していないと表明。強制労働の告発がある中国の供給業者との関係は段階的に解消するとした。この声明は昨年にメディアで報じられたものだが、中国国営メディアが24日に蒸し返した。

米スポーツ用品大手ナイキや独スポーツ用品大手アディダスなどの外国ブランドがソーシャルメディアで標的となった。

ナイキはホームページに掲載した声明で「新疆ウイグル自治区(XUAR)における、あるいは同自治区に関連する強制労働の報道を懸念している。ナイキはXUARから製品を調達しておらず、契約先サプライヤーからも、この地域の繊維もしくはスパン糸を使用していないとの確認を得た」としている。ただ、声明には日付が記されておらず、ナイキがいつ掲載したかは不明だ。

一部のネットユーザーはナイキの購入をやめ、李寧や安踏といった国内ブランドを支援することを表明。そのほかアディダスに対する中国撤退要求も出ている。

中国の環球時報は、「ザラ」などのブランドを展開するスペインのアパレル大手インディテックスが新疆綿に関する声明文をウェブサイトから「ひそかに撤回」していたと伝えた。同社からはコメントを得られていない。

ネットユーザーはまた、持続可能な綿花栽培を促進する「ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)」もやり玉に。同グループは昨年10月、人権への懸念を理由に2020/21年シーズンの新疆の綿承認を停止すると表明。BCIにはナイキ、アディダス、H&M、ファーストリテイリングなどが加盟している。ナイキ、アディダス、BCIからは今のところコメントを得られていない。

良品計画傘下の「Muji」は環球時報に対し、新疆コットンのユーザーだと説明。中国のネットユーザーから「生存本能」があるとして賞賛を受けている。

良品計画はその後、声明を発表し、強制労働巡る報道を「深く憂慮」しているとし、新疆ウイグル自治区の工場への監査では大きな問題はみられなかったとした。自治区の人権問題に関する欧州連合(EU)と米国の規制と法律へのコンプライアスを確実にすると表明した。



[ロイター]


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