最新記事

米中関係

米中「大荒れ」会談、注目されなかった王毅外相の重要発言

2021年3月23日(火)06時55分
シャノン・ティエジー

以前から中国の外交専門家は、非公式な形でアメリカ側の敬意の欠如に強い不満を漏らしていた。習近平(シー・チンピン)体制の中国は世界の大国になったという意識が強まった今、中国の外交当局者はアメリカに敬意ある態度を要請するのではなく、要求しているようだ。

王の別の発言は、会談前日に香港がらみの新たな制裁措置を決定したアメリカの行動が非難の応酬につながった可能性を示唆している。

王はこの措置に触れ、「アメリカは中国との交渉を有利に進めようとしたのかもしれないが、明白な計算ミスであり、アメリカ国内の脆弱性と弱さの反映にすぎない」と述べた。

自国の存在を絶対視する「勝利主義」が中国を支配している。そして、支配層の間では、アメリカは衰退の一途をたどり、中国の台頭は止まらないという意識が高まっている。

楊も王も、アメリカが対中関係で強い立場にあるとはみじんも考えていない。

要するに、中国は米中関係で自国が格下とは思っていないし、もはやその役割を演じる意思もない。これは習が国家主席に就任する前からの核心的主張だった。米中の「新型大国関係」という政権初期のスローガンがいい例だ。

中国はアメリカが納得しなくても、それを実行に移すつもりらしい。

From thediplomat.com

(3月23日発売の本誌「中国に勝てるのか」特集では、バイデン政権の対中政策を深掘り。ブリンケンはトランプの対中姿勢を「正しかった」と明言したが、新政権の支持層は関係改善を期待している。アメリカは中国の野望をどう止めるのか)

ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、クックFRB理事に辞任要求 「応じなけ

ワールド

トランプ氏批判のボルトン元補佐官、FBIが家宅捜索

ビジネス

FRB、金融政策の枠組みを微調整 インフレ目標の柔

ビジネス

FRB議長、利下げに「慎重」姿勢 雇用への下振れリ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子、ホッキョクグマが取った「まさかの行動」にSNS大爆笑
  • 3
    3本足の「親友」を優しく見守る姿が泣ける!ラブラドール2匹の深い絆
  • 4
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 5
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    海上ヴィラで撮影中、スマホが夜の海に落下...女性が…
  • 8
    抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    【クイズ】格差を示す「ジニ係数」が世界で最も高い…
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 9
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中