最新記事

南シナ海

インドネシア大統領ジョコ、米国の哨戒機給油要請を拒否

2020年10月21日(水)10時47分

米国が今年、インドネシア領内に哨戒機P8を着陸させ給油する許可を要請したが、インドネシア政府が拒否したことが関係筋の話で明らかになった。哨戒機P8、スペインで2017年撮影。(2020年 ロイター/Jon Nazca)

米国が今年、インドネシア領内に哨戒機P8を着陸させ給油する許可を要請したが、インドネシア政府が拒否したことが関係筋の話で明らかになった。

4人のインドネシア政府関係者によると、7月と8月に米政府高官から国防相と外務相に対し何度か働き掛けがあったが、ジョコ大統領が拒否した。同国は長く外交政策における中立を保ってきたため、インドネシア政府は米国の要請を驚きを持って受け止めたという。

P8は南シナ海での中国の軍事活動を監視する上で中心的な役割を果たしている。

インドネシアのルトノ外相は9月上旬に行われたロイターのインタビューで、同国は一方の側に付きたくないとし、米中の緊張の高まりや南シナ海の軍事化を警戒していると述べている。

元駐米インドネシア大使のディノ・パティ・ジャラル氏は「(米国の)非常に強引な反中政策」はインドネシアと地域を不安にさせているとの見方を示した。

「(米国の政策は)場違いとみられている。われわれは騙されて反中キャンペーンに乗せられたくない」とし「経済的関係が深く、中国はインドネシアにとって世界で最も影響の強い国だ」と述べた。

ワシントンのシンクタンク、米戦略国際問題研究所(CSIS)の東南アジア担当アナリスト、グレッグ・ポーリング氏は哨戒機の着陸を求めたことについて、不器用な行き過ぎたやり方と指摘。「米政府当局者がインドネシアのことをいかに理解していないかを示している」とし、インドネシアにとって国内に米軍を受け入れることはできないと述べた。

軍事アナリストによると、米国は最近、P8の運用でシンガポール、フィリピン、マレーシアの基地を使用した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア開発のコロナワクチン「スプートニクV」、ウイルスの有害な変異促す危険性
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ

ニューズウィーク日本版 トランプvsイラン
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月8日号(7月1日発売)は「トランプvsイラン」特集。「平和主義者」の大統領がなぜ? イラン核施設への攻撃で中東と世界はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は続落、日米交渉を警戒 朝安後は下げ渋り

ワールド

中国共産党機関誌、価格競争の取り締まり呼びかけ

ワールド

米政権の政策、日本の国益損なうものに妥協することな

ビジネス

ユニクロ、6月国内既存店売上高は前年比6.4%増 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 8
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中