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感染症対策

米CDC、新型ウイルス国内での感染拡大に備えを警鐘

2020年2月26日(水)09時10分

米疾病対策センター(CDC)は25日、新型コロナウイルスの感染が中国外に広がっていることを踏まえ、米国内での感染拡大に備えるよう警戒を促した。写真はCDC国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)のナンシー・メソニエ所長。1月撮影(2020年 ロイター/Amanda Voisard)

米疾病対策センター(CDC)は25日、新型コロナウイルスの感染が中国外に広がっていることを踏まえ、米国内での感染拡大に備えるよう警戒を促した。

CDC国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)のナンシー・メソニエ所長は「他国での感染拡大に関する過去の週間データを受け、われわれの懸念は深まり、米国で地域感染が発生するという観測が高まった」と述べた。

現時点で不明なのは感染拡大が始まる時期、さらにどの程度深刻な流行になるかで、「日常生活に深刻な混乱が生じる可能性がある」と警鐘を鳴らし、企業や学校、家庭に対し、感染拡大による影響を踏まえた話し合いを始めるよう促した。

また、CDCのアン・シュチャット首席副所長は電話会議で、米国では差し迫ったリスクは低いものの、海外での現況はパンデミック(世界的な大流行)になる見通しを示していると指摘。「起きるかどうかという問題ではなく、いつ、どれほど多くの人が感染するかが問題だ」と語った。

これとは別に、アザー厚生長官も、新型コロナウイルスの米国内の感染が今後増えるとの見方を示し、議会に25億ドル規模の対策費を要請したと明らかにした。

アザー長官は上院の歳出小委員会を前に「米国民に対するリスクは依然として低いが、アジア以外を含め多くの国で地域的な感染が発生しており、非常に懸念される」と指摘。特にイタリアやイランでの感染拡大が心配だと述べた。

その上で「国内での感染拡大の緩和に向けた準備を進めるため、州や自治体、民間部門と緊密に協力している」と話した。

さらに、追加の財政措置は新型ウイルスの監視システム強化に役立ち、州や地方政府を支援するほか、ワクチンや治療法の開発、医療用マスクなどの備蓄拡大につながるとした。

米ホワイトハウスは24日、新型コロナウイルス対策として25億ドルの補正予算案を議会に提出すると明らかにした。

世界や米国の株式市場は25日、新型ウイルスの流行により世界経済が打撃を受けるとの懸念から前日に続く大幅下落となった。

カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は25日、新型ウイルスの世界的な感染拡大に起因するいかなる阻害要因にも米経済は耐えられるとの認識を示した。

*内容を追加して再送します。



ロイター


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