最新記事

台湾

中国・上海市、台北と姉妹都市結んだプラハとの公式関係停止へ

2020年1月15日(水)08時10分

中国・上海市は14日、チェコ・プラハが台湾の台北市と姉妹都市の協定を結んだことを受けプラハとの公式関係を当面断つと述べた。写真は姉妹都市協定にサインするプラハと台湾の両市長。プラハで13日撮影(2020年 ロイター/DAVID W CERNY)

中国・上海市は14日、チェコ・プラハが台湾の台北市と姉妹都市の協定を結んだことを受けプラハとの公式関係を当面断つと述べた。

チェコのゼマン大統領は中国との関係強化を進めてきたが、中国の約束した投資計画が実現しなかったことを受け、中国に対して批判的になっている。12日には中国で4月に開催される首脳会議に出席しないと述べた。

チェコの首都プラハは独自の外交を進めている。フリブ市長は中国当局による台湾外交官の会議からの立ち退き要請を拒否。また、市庁舎にチベットの旗を掲げた。

中国は台湾を、中央政府に反発している省と位置付けており、台湾情勢は中国の外交において最も繊細な課題だ。中国は外国政府に対して、中国に同調するように圧力を強めている。

フリブ市長と台北市の柯文哲市長は13日、プラハで姉妹都市の協定書に署名した。

上海市政府はプラハが台湾など主要な課題において多くの過失を犯したと発言。声明で「無責任に中国の内政に干渉し、公的に『一つの中国』原則を挑発してきた」とし、プラハの動きに「厳格な対立姿勢」を示した。結果として上海は即時、プラハとの全ての公式関係を当面断つとした。

プラハ市は2019年10月、中国が掲げる「一つの中国」原則を拒否し、北京市との姉妹都市関係を解消した。

フリブ市長は声明で「北京との姉妹都市の関係解消以降、中国の内政には関与していない。『一つの中国』は外務省が対応するべきだ」とした。

チェコ外務省は、台北との姉妹都市協定はプラハで当選した政治家が決めたことであり、国の判断ではないと述べた。

先週末の台湾総統選では与党・民進党の蔡英文総統が大差で再選した。選挙運動では中国の強迫行為を繰り返し批判し、台湾が脅されて服従することはないと主張してきた。

蔡氏は台湾が「中華民国」を正式名とする独立した国であり、中国が台湾を支配したことはないと主張している。

柯市長は台湾の正式な独立性を支持していない。昨年は上海を訪問し、台湾海峡の両岸は「一つの家族だ」と述べた。柯市長は24年の台湾総統選に出馬するとみられている。

[上海/台北  ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200121issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月21日号(1月15日発売)は「米イラン危機:戦争は起きるのか」特集。ソレイマニ司令官殺害で極限まで高まった米・イランの緊張。武力衝突に拡大する可能性はあるのか? 次の展開を読む。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ビットコイン一時9万ドル割れ、リスク志向後退 機関

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=

ビジネス

欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中