かつて漫才師になる夢に破れた男は、今どんな夢を持っているのか。2013年に独立し、現在は浙江省寧波に住む笈川は、中国各地から集まる日本語学習者向けに、自社で10日間の特訓コースを提供している。それ以外にも、中国の10大学で客員教授として集中講義を受け持ち、講演会や授業のため中国内外を飛び回る。

「本当は、日本語教育機関のある国全てを回りたいという夢がある」。でも、今の望みはそれではない。一介の日本語教師という枠を超え、異国で日本語を教え続ける姿は、はたから見れば順調かもしれないが、むしろ毎日のように行き詰まっているという。

「特訓コースで200人を相手にする対話授業をやっているが、終了後にアンケートを取ると、毎回7%くらいの学生は私の思い通りに上達していない。今のやり方で、全員を上手にできていない......。どうすればいいのかと悩んでいる」

挫折を知る熱血教師は、謙虚さを忘れていない。そして今日もまた、伸び悩む目の前の学生のために心を砕き続けている。

Koji Oikawa
笈川幸司
●日本語教師

※この記事は「世界が尊敬する日本人100人」特集掲載の記事「笈川幸司:夢破れた男が中国で熱血教師に」の拡大版です。詳しくは本誌をご覧ください。

「世界が尊敬する日本人100人:2019」より
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※過去の「世界が尊敬する日本人」特集で取り上げた人の一部は、本ウェブサイトのニューストピックス「世界が尊敬する日本人」に掲載しています。

その声は温和で、むしろ控えめな印象すら受ける。気遣いにあふれていて、電話による取材が彼の所用で中断したときは、何度も「すみませんでした」と謝ってくれた。
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