最新記事

人権問題

北朝鮮失踪外交官の娘が本国送還か イタリア政府が確認、拷問の恐れも

2019年2月21日(木)12時27分

イタリア外務省は、北朝鮮の駐イタリア大使代理が昨年からローマで行方不明となっている問題を巡り、大使代理の娘が本国に送還されていたことを確認した。イタリアの外務次官は、大使代理の娘が北朝鮮で拷問を受けている恐れがあるとし、イタリア政府は保護すべきだったと述べた。写真はイタリアの北朝鮮大使館で今年1月撮影(2019年 ロイター/Alessandro Bianchi)

イタリア外務省は20日、北朝鮮の駐イタリア大使代理が昨年からローマで行方不明となっている問題を巡り、大使代理の娘が本国に送還されていたことを確認した。

駐イタリア大使代理だった北朝鮮の外交官チョ・ソンギル氏は昨年11月、妻と共に大使館を出た後、行方が分からなくなっている。韓国メディアは、チョ氏が西側の国への亡命を求めていると報じていた。

イタリア外務省によると、北朝鮮は12月5日にイタリア外務省に対し、チョ氏が11月10日に妻と共に大使館を後にしたことを受け、14日に娘を本国に送還したと通知した。

2016年に脱北した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使は今週ソウルで記者団に対し、チョ氏がローマの大使館を抜け出す際に娘を連れて行くことができなかったと語った。さらに、北朝鮮が間もなくチョ氏の娘を平壌に送還したとする北朝鮮の情報筋から入手した情報を明らかにした。

イタリア外務省の発表に先立ち、ディステファーノ外務次官はフェイスブックへの投稿で、チョ氏の娘がローマで連れ去られ、平壌に送還されたとの報道について、「事実が確認されれば、かつてない重大な問題」で、この問題に関与したものは「責任を問われる」と言明した。

同外務次官は、チョ氏の娘が北朝鮮で拷問を受けている恐れがあるとし、イタリア政府は保護すべきだったと述べた。

[ローマ 20日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独外相、中国の輸出規制による欧州産業混乱巡る問題解

ビジネス

パラマウント、ワーナーに敵対的買収提案 1株当たり

ワールド

EU、自動車排出量規制の最新提案公表を1週間延期 

ビジネス

NY外為市場=米ドル上昇、FOMCに注目 円は地震
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中