最新記事

アメリカ外交

トランプの米軍シリア撤収巡る決定、国内外から批判や懸念の声

2018年12月21日(金)09時21分

12月20日、トランプ米大統領がシリアから米軍の撤収を決めたことを巡り、国内外から懸念の声が高まっている。フランスとドイツは同日、米軍撤収が過激派組織「イスラム国(IS)」との戦いに悪影響を及ぼすリスクがあるとけん制。米共和党議員の間からは、シリア国内におけるロシアやイランの影響力が強まるとの懸念の声が上がっている。写真はシリアのマンビジでパトロールをする米軍の兵士ら。提供写真。11月撮影(2018年 ロイター/U.S. Army/Handout via REUTERS)

トランプ米大統領がシリアから米軍の撤収を決めたことを巡り、国内外から懸念の声が高まっている。フランスとドイツは20日、米軍撤収が過激派組織「イスラム国(IS)」との戦いに悪影響を及ぼすリスクがあるとけん制。米共和党議員の間からは、シリア国内におけるロシアやイランの影響力が強まるとの懸念の声が上がっている。

米当局者は、シリア撤退に伴い、米軍によるシリアのに対する空爆作戦が終了する公算が大きいとしつつも、空爆を巡る最終決定はまだ行われていないとした。

複数の米高官によると、シリア地上部隊の司令官は、トランプ大統領の突然の決定に驚いており、撤退による影響を懸念しているという。

トランプ大統領は前日、「われわれはシリアでISを打破した」と言明。IS打倒が「米軍のシリア駐留の唯一の理由だった」と述べた。

トランプ大統領はこの日、ツイッターへの投稿で、米軍のシリア撤退という選挙公約を実行に移していると説明。米国は見返りなしに他国の仕事を肩代わりしており、「他国が戦う時が来た」とし、自身の決定を擁護した。

ロシアのプーチン大統領は、ISを倒したというトランプ大統領の発言におおむね同意するとしつつも、ISが盛り返すリスクは存在すると述べた。

さらに、米軍のシリア駐屯は違法としたほか、撤収の兆候は現時点で見られないとし、トランプ大統領の決定の政治的な意味合いに疑問を投じた。

[ワシントン/ベイルート 20日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、2日にウィットコフ米特使とモスクワで会

ビジネス

英住宅ローン承認件数、10月は予想上回る 消費者向

ビジネス

米テスラ、ノルウェーの年間自動車販売台数記録を更新

ビジネス

英製造業PMI、11月改定50.2 約1年ぶりに5
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 7
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 8
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 9
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 10
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中