最新記事

ドイツ

独メルケル首相、CDU党首再選目指さず 首相も現任期限り

2018年10月30日(火)08時33分

10月29日、ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)のある関係者によると、メルケル首相は党幹部に12月の党大会で党首としての再選を目指さない意向を示した。23日撮影(2018年 ロイター/Ralph Orlowski)

ドイツのメルケル首相(64)は29日、12月に開催されるキリスト教民主同盟(CDU)の党大会で党首としての再選を目指さず、首相も4期目の現任期限りとする意向を示した。メルケル首相は2000年からCDU党首を、2005年から首相を務めている。

首相の決断の背景には、今月14日のバイエルン州、28日のヘッセン州の州議会選挙で与党が議席を大きく減らしたことがある。

メルケル首相は会見で、ヘッセン州議会選挙でのCDUの結果は失望させられるものだったと総括。バイエルン州、ヘッセン州両州の選挙は連立政権にとって転換点となったと述べ、昨年の連邦選挙以降に起こったことに対し責任をとると表明した。

メルケル首相は「まず12月にハンブルクで開催されるCDU党大会で党首に立候補するつもりはない」とし、「2番目に、首相としても今の4年の任期が最後である。2021年の連邦選挙で首相候補としても連邦議会の議員にも立候補しない」と述べた。

2005年の首相就任以来、メルケル氏はユーロ圏危機や難民・移民問題など、欧州のさまざまな難局への対応で主導的な役割を果たしてきた。

ただ、コンサルティング会社テネオのカルステン・ニッケル氏は、メルケル氏は2015年の難民受け入れ決定で判断を誤って以来、政治力を徐々に失ってきたと指摘。今回のメルケル氏の発表について「指導者不在の現状が続くだけ」と語った。

国内では、メルケル氏に対し、大連立を組むドイツ社会民主党(SPD)から政策の成果を求める圧力が強まっている。

メルケル氏の影響力は、CDU党首を退くことで一段と低下する。メルケル氏は以前、党首と首相は同一人物が務めるべきとの考えを示している。

メルケル氏の党首退任後、CDUの新党首は2021年の国政選挙を前に党の立て直しを図ることになる。

CDU関係筋によると、アンネグレート・クランプカレンバウアー幹事長、連邦議会の党代表を務めたフリードリヒ・メルツ氏、スパーン保健相が次期党首に名乗りを上げている。

ドイツ最大のノルトライン・ウェストファーレン州で州首相を務めるCDUのアルミン・ラシェット氏も有力候補で、次期党首を務める可能性を排除していない。

[ベルリン 29日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ガザの叫びを聞け
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

伊銀モンテ・パスキの同業買収、当局が捜査=関係者

ビジネス

欧州委、ブラックロックとMSCのスペイン港湾権益買

ビジネス

午前の日経平均は小反落、手掛かり難で方向感乏しい

ワールド

中国の銅生産能力抑制策、業界関係者から不十分との指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 7
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 8
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中