最新記事

オバマケア

米上院で税制改革法案可決 オバマケア骨抜きで1300万人が保険を失う

2017年12月4日(月)16時54分

12月2日、米上院共和党は、税制改革法案を可決することで医療保険制度改革(オバマケア)の骨抜きにすることに成功した。写真はサンディエゴで10月撮影(2017年 ロイター/MIKE BLAKE)

米上院共和党は2日、税制改革法案を可決することで医療保険制度改革(オバマケア)の骨抜きにすることに成功した。

同法案にはオバマケアで定められた個人の保険加入義務の撤廃が盛り込まれていた。法案は下院との調整が必要になるが、このままの形で成立すれば保険料が上昇し数百万人が保険を失う可能性がある。

ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院でヘルスケアプログラムのディレクターを務めるクレイグ・ガースウエート氏は「多くの健康な人たちが保険市場から追い出される」と述べ「(オバマケアは)一段と骨抜きになる」と指摘した。

共和党は今年オバマケアの改廃に何度も取り組んだが、コリンズ議員らの造反により失敗に終わっていた。同議員は加入義務の撤廃には反対だが、共和党指導部が保険市場を強化する法案を支持すると約束したため税制改革法案に賛成したと説明した。

下院は独自に内容の異なる税制改革法案を可決しており、両院協議会で法案の一本化作業を行う。

議会予算局(CBO)は個人の加入義務が廃止されれば、今後10年間の大半の年で保険料が10%上昇し2027年までに1300万人が保険を失うとの試算を先月公表している。

カイザー・ファミリー財団のヘルスエコノミスト、ラリー・レビット氏は、保険会社は保険料を引き上げなければ毎年100億ドルの収入が失われるとの見方を示した。

[ワシントン 2日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中