最新記事

スペイン

カタルーニャ州で独立反対派が大規模デモ、世論調査で若干優勢

2017年10月30日(月)10時00分

10月29日、スペイン北東部のバルセロナでカタルーニャ自治州の独立に反対する数十万人の人々がデモを行った。これまで、あまり声を上げてこなかった独立反対派の集会としては最大規模となり、独立を巡り市民が分断している状況が鮮明になった。バルセロナ中心部で撮影(2017年 ロイター/Yves Herman)

スペイン北東部のバルセロナで29日、カタルーニャ自治州の独立に反対する数十万人の人々がデモを行った。これまで、あまり声を上げてこなかった独立反対派の集会としては最大規模となり、独立を巡り市民が分断している状況が鮮明になった。

カタルーニャ州議会は27日、独立に関する動議を可決し、スペインからの独立を宣言。その後、上院からカタルーニャ州の直接統治権を承認された中央政府のラホイ首相は、同州政府の閣僚を解任し、議会を解散、さらに12月21日に州議会選挙を実施すると発表した。

現地紙エル・ムンドが29日公表した世論調査の結果では、カタルーニャ州の独立に反対する政党が支持率でややリードした。

これまでの世論調査や選挙でも、カタルーニャ州の有権者の約半分が独立に反対であることが示されてきた。しかし、同州政府が10月に独立を巡る住民投票を強行して以来、独立機運が急激に高まり、危機的状況に陥っている。

29日公表された世論調査では、カタルーニャ州の独立に反対する政党の支持率が43.4%と、独立賛成派の42.5%を若干上回った。

調査は調査会社シグマ・ドスが1000人を対象に、10月23─26日まで実施した。

29日のデモの主催者は、独立反対派の有権者に対し、12月の州議会選挙での投票を呼び掛けた。

州首相を解任されたプチデモン氏は28日、中央政府による自治権停止に対する「民主的な抵抗」を呼びかけた。ただ、具体的にどのような措置をとるかは明らかにしなかった。

中央政府の報道官はロイターTVのインタビューで、プチデモン氏が12月の州議会選挙に出馬することを中央政府は歓迎するとの立場を示し、そうすれば同氏は民主的な抵抗を実行できるだろうと述べた。

州議会選挙の実施は、結果的に議会で独立支持派が増える可能性もあることから、ラホイ首相にとってはリスクのある決定だった。だが政府報道官は、カタルーニャの住民に独立を巡る最後の意思表示の機会を与えることができるとの見方を示した。

[マドリード/バルセロナ 29日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ10月輸出、予想下回る前年比+5.7% 対米は

ビジネス

ドイツのEV需要は「自主登録」が押し上げ、業界団体

ビジネス

10月ショッピングセンター売上高は前年比6.3%増

ワールド

NASA、ボーイング宇宙船計画縮小 不具合で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 8
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中