最新記事

シェアリング

中国の自転車シェアリング大手、世界へ拡大 7月には日本にも

2017年6月23日(金)20時30分
松丸さとみ

自転車シェアリングで溢れる北京の路上 Stringer-REUTERS

時間単位で自転車を借りることができ、移動先のポートに返却できる自転車シェアリングは世界の大都市で活用されているが、近年の中国での勢いは凄まじい。中国の大手自転車シェアリング企業はこのほど6億ドル調達し、世界に進出する意向を明らかにした。

Mobike、670億円調達で英国進出

中国では現在、自転車シェアリングが大流行で、北京や上海など大都市に行くと、オレンジや黄色の自転車が街なかに溢れているという。黄色の自転車が、中国での自転車シェアリングの元祖・Ofoで、オレンジがMobikeの自転車だ。いずれも北京に本社を構えている。

中国における自転車シェアリングで特徴的なのは、東京やロンドン、パリのように「サイクルポート」があってそこで貸し借りするわけではないという点。スマートフォンのアプリで自転車の認識番号やカギとなる暗証番号のやり取りをするため、自転車をどこでピックアップしても、どこで降りてもいい。まさに文字通り「乗り捨て」感覚で目的地まで行けるのだ。また、Mobikeの自転車にはGPSが内蔵されており、どこに自転車があるかを地図で確認できるという。

今回6億ドル(約670億円)を調達したのは、Mobikeだ。インディペンデント紙によると、ネット大手のテンセントがリード・インベスターとなり、これまでもMobikeの投資家だったセコイアやTPG、ヒルハウス・キャピタルなどが投資した他、国営の投資銀行である交通銀行や中国工商銀行、シンガポールのファラロン・キャピタルが新たに投資した。

100都市から200都市へ拡大

同記事によると、Mobikeは現在、100都市で展開しており、ユーザー数は約1億人、1日の乗車回数は約2500万回に上るという。すでに進出しているシンガポールを除くと、このほとんどが中国国内だ。しかし今年末までには200都市へと拡大する予定で、6月29日にはアジア以外の都市で初となる英国のマンチェスターと、マンチェスターの郊外ソルフォードで運営を開始する。

RTX35CJ5.jpg

こんな風景も... China Daily via REUTERS

日経アジアンレビューによると、この200都市には日本も含まれている。具体的な都市名は不明だが、7月に日本で運営を開始する予定とのことで、まだ内容は充実していないもののすでに日本語サイトもできあがっている。地方自治体と協力して年内には10カ所での展開を目指しているという。ただし、中国方式の「乗り捨て」ではなく、サイクルポートに戻すスタイルになる見込みだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米政権、一部帰化者の市民権剥奪強化へ=報道

ワールド

豪ボンダイビーチ銃撃、容疑者親子の軍事訓練示す証拠

ビジネス

英BP、豪ウッドサイドCEOを次期トップに任命 現

ワールド

アルゼンチンの長期外貨建て格付け「CCC+」に引き
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中