最新記事

環境

【写真特集】人間と自然が再びつながるビル緑化

2016年8月19日(金)17時00分
Photographs by BRAD TEMKIN

ルーリー小児病院(シカゴ、12年5月)

<都市部の建築の屋根や壁に自然の要素を組み入れることが最近のトレンドになってきている。アメリカなどでも屋上緑化は新しい景観として存在感を見せ始めている>

 技術の進歩は自然に対抗するものと、長らく考えられてきた。照明でも冷蔵庫でもエレベーターでも、開発の原動力は自然の限界を乗り越え、自然に打ち勝つこと。コンクリートや鉄、ガラスを使った建築は、人間と自然の分離に美しさを見いだした。

 しかしこれと反対に、近年では建築物の屋根や壁に自然の要素を組み入れることが1つの潮流になってきた。アメリカなどでも屋上の緑化は新たな景観として存在感を見せ始めている。

【参考記事】メコン川を襲う世界最悪の水危機

 写真家ブラッド・テムキンは、各地に広がるそんな緑化の光景をカメラに収めた。見えてくるのは環境に対する人々の関心と、再び自然とつながりたいという欲求だ。

 そこからは秩序と普遍性、自然への支配欲に駆られた人間の介入といった、より大きな意味も伝わってくる。同時に、ディストピア的なムードも感じられるだろう。アスファルトの裂け目から出てきた雑草、人間が地球を立ち去った後の将来の廃墟の叫びといったイメージだ。

 テムキンは、建築表現の大きな変化を見事に捉えたと言える。それは自然と人間が同じくらい寄与できる芸術。建築物は人間と自然との対立から生まれるという過去の伝統とは一線を画している。


ppgreen02.jpg

シカゴ市庁舎(シカゴ、10年5月)


ppgreen03.jpg

111サウスワッカー・ビル(シカゴ、10年10月)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国CPI、7月は前年比横ばい PPI予想より大幅

ワールド

米ロ首脳、15日にアラスカで会談 ウクライナ戦争終

ビジネス

トランプ大統領、内国歳入庁長官を解任 代行はベセン

ビジネス

アングル:米関税50%の衝撃、インド衣料業界が迫ら
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 2
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何か?...「うつ病」との関係から予防策まで
  • 3
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トップ5に入っている国はどこ?
  • 4
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 7
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中…
  • 8
    今を時めく「韓国エンタメ」、その未来は実は暗い...…
  • 9
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 10
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 9
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中