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数学の「できない子」を強制的に生み出す日本の教育

2016年6月21日(火)16時10分
舞田敏彦(教育社会学者)

 もう一つ、日本の特異性が分かるグラフがある。<図2>は、数学を得意と考える割合と平均点のクロス集計結果だ。左は日本、右は参加国平均のグラフで、横幅の大小によって得意群・不得意群の比率を表している。

miata160621-chart02.jpg

 日本は不得意群が大半だが、その多くが国際標準で見ると高い水準に達している。参加国平均でみた得意群よりも、はるかに高いアチーブメント(到達度)であることがわかる。

【参考記事】未婚男性の「不幸」感が突出して高い日本社会

 理系の学力が高い生徒を育てること、理系教科を得意と考える(親近感を持つ)生徒を育てること――。国の科学力を強化するにはどちらも大事だが、日本は後者が明らかに弱い。理系学力を鍛えても、それを活かして理系職を望む生徒が出てこない(とくに女子)。何とももったいないことだ。

 過密カリキュラムを少し緩めること、入試では科学に対する意欲・態度の評価項目をもっと重視することなど、今進んでいる大学入試改革はその方向に動いている。現場の人員増員といった教育環境の整備と並行して、ぜひとも実現して欲しい。日本の生徒はもっと自信を持っていい。

<資料:IEA「TIMSS 2011」

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