最新記事

BRICs

中国自動車メーカー大手の上海汽車、インド市場進出に本腰

GMの工場買収も含め3年以内の工場設立で本格参入へ

2016年4月7日(木)20時01分

4月6日、中国の自動車大手、上海汽車(SAIC)と長城汽車が国内市場の低迷を背景に、成長著しいインド市場に初めて本格的な進出を試みようとしている。写真はSAICのロゴ。上海で2013年1月撮影(2016年 ロイター/Aly Song)

 中国の自動車大手、上海汽車(SAIC)<600104.SS>と長城汽車<601633.SS>が国内市場の低迷を背景に、成長著しいインド市場に初めて本格的な進出を試みようとしている。

 ただ、10年以上前から進出している独フォルクスワーゲン、米フォード・モーター、米ゼネラル・モーターズなどの世界大手でさえ、価格に敏感なインド市場での販売拡大には苦心している。インドでは中国メーカーは品質が悪いとのイメージも持たれており、環境は厳しそうだ。

 上海汽車と長城汽車は基本装備の廉価なスポーツ用多目的車(SUV)で売り込みを図りたい意向だが、既にこの分野で東南アジア市場を制するスズキ<7269.T>や韓国の現代自動車<005380.KS>との戦いを強いられる。

 とはいえ、インドは残り少ないフロンティア市場の1つで、2020年までに世界第3位の自動車市場に躍り出ると期待されている。年間の販売台数は2015年の270万台から2倍以上の500万台に達する見通しだ。

 上海汽車と長城汽車はそれぞれ西インドのマハラシュトラ州政府と、自動車生産拠点であるプネー市での工場設立を協議している。同州の産業大臣がロイターに明らかにした。関係筋によると、上海汽車は3年以内の工場設立を目指している。

 複数の関係筋によると、上海汽車はまたグジャラート州ハロルにあるGM工場の買収も協議している。GMは「ハロル工場については売却を含めて数多くの選択肢を検討中」との声明を出している。

 またインドの業界筋によると、長城汽車の幹部12人が2月、インド自動車博覧会に出席し、市場調査のほか、ディーゼルエンジンや排気についての政府方針を確認していた。

 証券取引所への開示資料によると、同社の取締役会は3月7日、全会一致でインド子会社の設立を支持した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「現実とは思えない」、専門職ビザ規制に怒りや失望 

ワールド

米高度専門職ビザの新手数料は1回限り、既存ビザは対

ビジネス

イタリア財政赤字、今年3%下回る可能性 税収増加で

ビジネス

フィッチ、イタリア格付け「BBB+」に引き上げ、財
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 2
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 3
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で「不敬行為」? ネットでは非難轟轟、真相は?
  • 4
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 5
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】21年連続...世界で1番「ビールの消費量」…
  • 8
    トランプに悪気はない? 英キャサリン妃への振る舞い…
  • 9
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 10
    「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 10
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中