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ボトックスで女性は本当に美しくなれる? 承認20年で分かった副作用と美意識の変化

Frozen by Botox: Let It Go

2022年09月07日(水)17時15分
エレノア・カミンス

エンパワーメントの手段として広く受け入れられるようになったが DIMID_86/ISTOCKーGETTY IMAGES PLUSーSLATE

<しわ予防の手段として最近では10代女性にまで普及しているが、承認から20年を経た今こそ効果とリスクを改めて考え直すべきとき>

そろそろボトックスを始めるべきか――アメリカの中・上流層女性の人生には、そう自問しなければならないときが訪れる。今や「そのとき」は早まる一方だ。

全米形成外科学会によれば、2020年にアメリカで、美容目的で行われたボトックス注射の施術件数は計440万件超。そのうち約19%は39歳以下の女性が対象だった。

さらに驚くことに、13~19歳の女性の施術数は1万2000件を上回る。しわなどないはずの少女たちまでボトックスを利用しているのだ。

ボトックスは顔の筋肉の動きを抑制してしわを伸ばすが、「予防的ボトックス」はしわ自体を防ぐとうたう。若い女性が「しわ予防」に走る理由は明らかだ。「今が一番きれいな年代だから、この状態を保たなければ」と考えていると、ルイジアナ州立大学の社会学准教授で、『ボトックス国家――変化するアメリカの容貌』(17年)の著者デーナ・バーコウィッツは語る。

反対するのはもはや時代遅れと言っていい。近年はエンパワーメント(自信を与えること)の手段という位置付けを得て、女性の個人的選択の自由を重視するフェミニストも認める存在になっている。

一方、美しさの理想はジェンダーを問わず、かつてないほど膨れ上がっている(53歳の歌手・女優ジェニファー・ロペスがいい証拠だ)。間違った動きだと指摘しても、社会への浸透は止まらない。

それでも、米医療大手アラガンの製品「ボトックス」がしわ治療薬としてアメリカで承認されてから20年を迎えた節目に、この問題を考え直すことには意味がある。特に重視すべきなのが、ボトックス人気の核にある皮肉な事実だ。

予防的ボトックスが引き起こす問題とは

実は、予防的ボトックスはある問題を解決する一方で、別の問題を引き起こしかねない。数十年にわたって顔面筋の固定を続けるのは、美容面でもいいとは限らない。同時に、予防的ボトックスは若年層消費者を、無限に続く高額施術の道へと導く。

もうはっきりさせるべきだ。予防的ボトックスは業界のマーケティング戦略にすぎず、黙って受け入れてはならない。

ボトックスの有効成分であるボツリヌス毒素は長らく、人類に大きな被害をもたらしてきた。典型的な事例が、食品や傷口のボツリヌス菌汚染による死だ。だが1970年代後半を迎える頃には、筋肉を弛緩させる作用に着目した眼科医らが、希釈したボツリヌス毒素を用いて斜視や眼瞼けいれんに苦しむ患者の治療を試みるようになっていた。

美容面の可能性が注目され始めたのは、それからすぐだ。

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