最新記事
テック企業

ツイッターからXへ...もはや悲しい抜け殻に...イーロン・マスクのせいで「劣化」したこれだけの機能や要素

Everything Musk Broke in Twitter

2023年11月17日(金)15時30分
アレックス・カーシュナー
マスク率いるXは投稿の監視も広告も、ニュース提供も問題だらけ    PHOTO ILLUSTRATION BY YUKAKO NUMAZAWAーNEWSWEEK JAPAN; SOURCE IMAGES: NATHAN LAINEーBLOOMBERG/GETTY IMAGES (MUSK), SHAUNL/ISTOCK (CLOUD), ILLUSTRATION BY DUNCAN1890/ISTOCK (BIRD)

マスク率いるXは投稿の監視も広告も、ニュース提供も問題だらけ    PHOTO ILLUSTRATION BY YUKAKO NUMAZAWAーNEWSWEEK JAPAN; SOURCE IMAGES: NATHAN LAINEーBLOOMBERG/GETTY IMAGES (MUSK), SHAUNL/ISTOCK (CLOUD), ILLUSTRATION BY DUNCAN1890/ISTOCK (BIRD)

<衝撃の巨額買収、突然の名称変更──謎と混乱だらけの1年間に起きた劣化現象(といくつかのプラス面)を検証>

本人が望んだ結果ではなかった。それでも2022年10月28日、イーロン・マスクのツイッター買収は完了した。

この世界一、二を争う富豪が買収を提案したのは昨年春。約440億ドルで入札に成功したものの、数週間後には重大な間違いを犯したことに気付き、どうにかして買収合意を撤回しようとしたが......。結局は大金を費やす羽目になり、ツイッターの株主は1株当たり54.20ドルを手にした。

ツイッター(現X)はもはや悲しい抜け殻だ。一般的なビジネス指標のどれを見ても、以前とは大違い。マスクの気まぐれな言動やサイトの変化に嫌気が差した広告主は、ツイッターへの広告支出を大幅削減し、ユーザー数も減っている。企業評価額は、マスクの買収額の3分の1程度に激減したようだ。

とはいえ厳密には、そんなことはマスクだけの問題。私たちにとって問題なのは、急降下するユーザー体験だ。ツイッターの「マスク化」から1年が過ぎた節目に、その変化を検証してみよう。

◇ ◇ ◇


■名称

ツイッターはいい名前だった。動詞として使われるほどインパクトがあり、個性があった。一方、Xは不気味な印象で、マスク以外の者には意味不明だ。決済もできて動画も楽しめる「万能アプリ」がマスクの構想だが、そんなツイッターは誰も求めていなかった。

■コンテンツモデレーション(投稿の監視・管理)

担当従業員の解雇が相次いだため、当然ながら不適切な投稿の管理体制は悪化している。マスク以前は極端なヘイトスピーチ、特に暴力を示唆する発言は大抵、報告があった時点で何らかの対応が取られていた。

しかしマスク以降は、ヘイトスピーチやハラスメント、偽情報がはびこっている。

■ボット

ツイッター時代もボットアカウントやスパムアカウントの正確な数は不明で、マスクはそれを口実に買収合意を破棄しようと試みた。

ボットをめぐるマスクの発言には虚偽が多い。認証バッジ付与を含むサブスクリプション(定額利用)サービスを月額8ドルで提供する理由としてもボット問題を挙げていた。だが問題が解決されるどころか、ボットアカウント(中には認証済みを示すブルーのチェックマーク付きのものも)が氾濫し、ポルノボットの存在感も膨らんでいる。

■迷惑ユーザー

不快なツイートをするユーザーの迷惑度はさらにアップした。自分の投稿を表示されやすくするアルゴリズムの有料サービスを利用しているのが一因だ。さらに、マスクによって凍結アカウントが「出禁解除」されたせいで、悪意に満ちた無価値な発言が復活している。

インタビュー
現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ「日本のお笑い」に挑むのか?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

豪中銀、予想通り政策金利据え置き 利上げ急がない姿

ビジネス

香港、IPO申請の質の維持を投資銀行に要請 上場急

ワールド

トランプ政権の風力発電プロジェクト承認停止は無効、

ビジネス

マクロスコープ:青森沖地震、懸念される経済損失 専
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 10
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中