最新記事

宇宙

マスクがベゾスに破れた? スペースX、空軍のロケット打ち上げ契約めぐり提訴

2019年5月23日(木)11時27分

米宇宙ベンチャーのスペースXが、米空軍が打ち上げロケット選定の入札で同社以外の3社と契約締結を決めたのは不服として、裁判所にやり直し命令を求めて訴訟を起こしたことが裁判所に提出された資料で明らかになった。写真は打ち上げられるスペースX社のロケット。4月にフロリダ州のケネディ宇宙センターで撮影(2019年 ロイター/Thom Baur)

米宇宙ベンチャーのスペースXが、米空軍が打ち上げロケット選定の入札で同社以外の3社と契約締結を決めたのは不服として、裁判所にやり直し命令を求めて訴訟を起こしたことが22日に裁判所に提出された資料で明らかになった。

訴状によると、著名起業家イーロン・マスク氏率いるスペースX(正式名スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ)は、空軍は3件の「未完成で未飛行」のロケットシステムへの発注を決めたと主張。政府が設定する期日までに飛行の準備は整わない見込みで、空軍の打ち上げ機選定計画の趣旨にそぐわないと訴えた。

空軍は調達規則に違反したとし、契約の停止と入札のやり直し、スペースXの提案の再考を空軍に命じるよう裁判所に求めた。

国防総省は米軍が宇宙活動を常に行える態勢を整えると同時に、打上げロケットにおけるロシア製RD―180エンジンへの依存度を低下させるために打ち上げロケットの選定計画を進めてきた。

打ち上げ市場は長い間、ボーイングとロッキード・マーティンの合弁会社ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)といった従来型企業が独占してきたが、スペースXとアマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)率いるブルー・オリジンなどが新たに参入し、軍からの契約獲得競争を繰り広げている。

空軍の入札で契約を勝ち取ったのはULA、ブルー・オリジン、ノースロップ・グラマンの3社だった。

スペースXの広報担当者は「公正な競争環境を確保」するために提訴したと説明した。

空軍とULAはコメントの求めにこれまでのところ応じていない。ブルー・オリジンはコメントを差し控えた。

訴訟は17日に連邦請求裁判所に提起されていたが、非公表となっており、審理内容も非公開とするよう要請があった。編集が加えられた訴状が22日に提出された。

空軍は4月に、契約条件に関するスペースXの異議申し立てを却下している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本人と参政党
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月21日号(10月15日発売)は「日本人と参政党」特集。怒れる日本が生んだ参政党現象の源泉にルポで迫る。[PLUS]神谷宗弊インタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仮想通貨が一時、過去最大の暴落 再来に備えたオプシ

ワールド

アルゼンチン中間選挙、米支援でも投資家に最大のリス

ワールド

NZ中銀、12月から住宅ローン規制緩和 物件価格低

ビジネス

先週以降、円安方向で急激な動き=為替で加藤財務相
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中