最新記事
健康

マイクロプラスチックが腸内環境に「予想外の影響」を与えていた...「1週間の摂取量は、クレカ1枚分」【最新研究】

Microplastics Are Changing Your Insides in Unexpected Ways

2025年10月13日(月)10時00分
ジャスミン・ローズ

研究チームは、健康な5人の被験者の便から腸内細菌を採取・培養し、5種類のマイクロプラスチック(ポリスチレン[スチロール樹脂]、ポリプロピレン[PP]、低密度ポリエチレン[LDPE]、ポリメチルメタクリレート[PMMA]、ポリエチレンテレフタレート[PET])にさらした。

これらのマイクロプラスチックは日常生活の中で一般的に曝露される濃度と、それよりも高濃度の2条件で試験を行った。


その結果、マイクロプラスチックに曝露された培養グループではpHが低下(酸性化)し、代謝活動の変化を示唆。そしてより詳細な調査の結果、細菌の構成も変化していることが判明した。

特に消化機能や腸全体の健康に関わる重要な細菌が影響を受けており、細菌の構成の変化によって産生する化学物質の量にも影響を及ぼしていた。

マイクロプラスチックは以下のような複数の経路で腸内環境に影響を与える可能性があるとパッハー=ドイチェ研究員は述べる。

• 栄養素と結合するため、微生物が変化する
• 化学物質を溶出し、ストレス因子として微生物の構成や代謝をかく乱する
• バイオフィルム(細菌など微生物でできた膜)を形成する菌に好まれる環境を提供し、腸内のバランスを変える

注目すべき点は、これらのマイクロプラスチックによる微生物構成の変化がうつ病や大腸がんなどの疾患と関連付けられてきたパターンを反映していた点だ。

直接的な因果関係はまだ証明されていないが、マイクロプラスチックの曝露が疾病リスクに及ぼす潜在的な影響を浮き彫りにしていると研究チームは指摘する。

アリゾナ州立大学バイオデザイン環境健康工学センター所長を務めるロルフ・ハルデン教授は、本誌に対して次のように評価する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英自動車生産、10月は前年比23.8%減 ジャガー

ビジネス

東京コアCPI、11月は+2.8% 食品価格減速「

ワールド

香港大規模火災の死者94人に、鎮火は28日夜の見通

ビジネス

小売販売額10月は前年比1.7%増、PCなど家電増
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 7
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 8
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中