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中小企業こそ新しいサステナブルビジネスを 現地に調和する「日本型グローバル展開」が強みに

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2022年2月21日(月)11時00分
ニューズウィーク日本版広告制作チーム
ユーグレナ社 出雲充社長(左)とJICA 中澤慶一郎理事(右)

ユーグレナ社 出雲充社長(左)とJICA 中澤慶一郎理事(右)

<SDGs達成を視野に入れたビジネスが求められる時代だが、実際にどれだけの企業が対応できているだろうか。バングラデシュでソーシャルビジネスを展開しているユーグレナ社の取り組みをケーススタディとして、途上国での民間企業の事業展開について、ユーグレナ社長出雲充とJICA理事中澤慶一郎が語った>

地球温暖化の影響や人口増加、途上国の発展によって世界の食やエネルギーをめぐる環境は大きく変化をしている。現在76億人の世界人口が2050年には98億人に達すると予測されており、今後食料不足が起こるといわれている。また、脱炭素の観点から牛肉食を控えたり、大豆由来の代替肉が広がり始めるといった動きもある。そういった世界環境の変化を受けて、企業経営のあり方も見直す時期がきている。

2021年、使用済み食用油と微細藻類であるユーグレナ(和名:ミドリムシ)等を原料にしたバイオ燃料「サステオ」による初フライトを成功させ話題となっている株式会社ユーグレナ。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を企業のフィロソフィーとして掲げ、持続可能なビジネスの構築に取り組み、昨年は第5回ジャパンSDGsアワードで「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」を受賞。同社は、社長の出雲が学生時代に訪れたバングラデシュで目の当たりにした栄養問題と、それを解決したいという強い思いから設立したバイオベンチャー企業だ。創業時わずか3名から出発したベンチャー企業がどのようにして海外進出できたのか、民間企業の海外進出支援を途上国の発展に結びつけ、「信頼で世界をつなぐ」ことをビジョンに掲げるJICA(独立行政法人国際協力機構)でミャンマー事務所長、南アジア部長を歴任してきた理事中澤慶一郎がユーグレナ社長出雲充と対談を行った。

食べものはあるのに、栄養失調の子どもたちがいる世界

――ユーグレナは、1990年代に当時の通産省が進めた「ニューサンシャイン計画」の中で、エネルギー・環境問題の同時解決をめざした革新的技術の1つとして候補に上がっていたが、屋外で大量培養することが困難なことから計画が頓挫していた。それを2005年に世界で初めて食用屋外大量培養に成功したのが、出雲率いるユーグレナ社である。

ユーグレナ

ユーグレナは植物の栄養素と動物の栄養素を併せもつ(写真提供=ユーグレナ社)

中澤 ユーグレナ社を創業したきっかけは、何だったのでしょうか?

出雲 大学1年生の時に訪れたバングラデシュでの経験です。バングラデシュは農耕が盛んな国で、米はあるのに成長に必要な栄養素が足りず、栄養失調になっている子どもたちがたくさんいました。そこで、次に訪れるときには、日本で一番栄養価の高いものを持っていくぞと決意したんです。

中澤 私が学生の頃は音楽の世界で『ウィ・アー・ザ・ワールド』がヒットし、「ライヴエイド」*が盛り上がるなど、国際協力の機運が高まっていた時期でした。私自身もタイやミャンマーに足を運ぶなど途上国への関心はあり、JICAの前身であるOECF(海外経済協力基金)に進むことになりましたが、出雲さんは学生の頃からそのような強い思いで研究をされていたのですね。
*ライヴエイド(LIVE AID)は「アフリカ難民救済」を目的として米英で1985年7月13日に同時開催された20世紀最大のチャリティーコンサート。

出雲 バングラデシュでは、貧困層への無担保融資を行うグラミン銀行でインターンシップをしていたのですが、このときに人生の師匠であるムハマド・ユヌス博士と出会えたことも大きかったです。当時は、後にユヌス博士と共にバングラデシュで事業展開することになるとは想像もしていませんでした。

中澤 2014年には、「ユーグレナGENKIプログラム」という、豊富な栄養素をもつユーグレナ入りクッキーを、バングラデシュの子どもたちに無償で配布されていますね。

出雲 はい。実はこの事業を始めるとき、JICAには途上国を対象としたビジネスのBOP調査事業*で支援いただきました。バングラデシュの工場にクッキー製造の依頼に出向くと、「日本の、JICAの仕事ならば良い仕事に違いない」と、快く一緒に取り組んでくれました。長年かけてJICAがそういう下地を作ってくださっていたからできたことなのです。
*2010年に日本企業によるBOPビジネス(貧困層が抱える課題の解決に貢献するビジネス)を支援するために設置された事業。現在、途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査に名称変更。

中澤 JICA自身は技術を持っているわけでもなければ、すごい製品を持っているわけではありません。日本の企業の高い技術や製品、あるいは熱い思いをどうやって途上国で花開かせるか。それをお手伝いするのが我々の仕事だと思っています。

「信頼」はコロナ禍の下でも発揮された

――JICAは、バングラデシュ人民共和国が建国された1972年の翌年には3人の青年海外協力隊(現JICA海外協力隊)を派遣。50年にわたる協力が続いている。

出雲 バングラデシュの人は、こちらが日本人とわかると国の東西をつなぐ「ジャムナ多目的橋」のことを話します。1998年にJICAなどの協力により大河で分断されていた国土に橋がかかったことで、人流や物流が非常にスムーズになり、生活が変わったそうです。彼らにとって、JICAは日本そのものであり、信頼を勝ち得ているのだと実感しました。

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