コラム

南シナ海に中国の「新大陸」ができる?

2015年05月08日(金)15時02分

pepper4-2.jpg
 昨年以来、中国は領有権で争いのある南シナ海の南沙諸島の6つの岩礁を次々と埋め立て、6つの島にしてしまった。フィリピンのアキノ大統領は5月、中国が「南シナ海行動宣言」に違反していると指摘。この行動が問題を複雑化し、地域の平和と安定に影響を与えている、と批判した。

 1940年代、中華民国は一方的に南シナ海にいわゆる「九段線」(編集部注:当初は十一段線)を策定。国際的に認められないこの海の国境線は、49年以降共産党政府によって引き継がれ、彼らは一貫して南シナ海周辺国が呼び掛ける国際機関での仲裁を拒否し続けている。

 今年の4月以降、アメリカのシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)が公表した写真によって、中国がこの地域で海を埋め立て島を造るプロジェクトを加速させていることが明らかになった。一部の島では滑走路まで造られている。共産党政府の大規模でスピードの速い行動について、中国のネット愛国青年たちの間でこんな会話が交わされている。

「祖国がヤクザみたいに頼りがいがあって、ホント安心だ」

 しかし「ヤクザな行為」は周囲を不安にさせる。アメリカとフィリピンは最近、過去15年で最大規模の軍事演習を実施した。フィリピン政府の高官は今回の演習が中国に対するものではない、と説明したが、「ヤクザな隣人」がいれば安心できないのはどの国も同じだ。

プロフィール

辣椒(ラージャオ、王立銘)

風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

英財務相、予算案で個人所得税を増税する方針=報道

ワールド

原油先物、小幅反発も2週連続下落見通し 供給懸念が

ワールド

政府、対日投資の審査制度を一部見直しへ 外為法の再

ビジネス

日経平均は5万円割れ、一時1000円超安 主力株が
今、あなたにオススメ
>
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story