コラム

トランプ政権を支える陰謀論「QAnon」とは何か

2018年08月06日(月)15時08分

陰謀説を支える被害者意識

ユダヤ人やバチカンに関するものも含め、陰謀説は世界中に数多くみられる。そのほとんどは「自分たち以外の誰かによって世界が支配され、自分たちはその被害者だ」というストーリーで共通する。この被害者意識を核とする陰謀説は、QAnonにも顕著だ。

もともとトランプ氏は、企業の海外流出などによって衰退した白人中間層を主な支持基盤として勢力を広げた。つまり、トランプ氏の支持者の多くには、「グローバル化を目指したエリートの犠牲者」という自己認識がある。

ロシア疑惑をはじめ、疑惑やスキャンダルが噴出し、議会、司法、メディアなど各方面から批判を浴びる状況は、一部の支持者のトランプ離れを呼んでいる。しかし、それでもトランプ氏を支持する者にとって、トランプ批判の高まりは、被害者意識をさらに増幅させるきっかけにもなってきた。これは神がかりで荒唐無稽な主張を展開するQAnonが勢力を広げる土壌になったとみてよいだろう。

言い換えると、QAnonの台頭は、アメリカ国内でトランプ支持に揺らぎが生じていることと同時に、熱心なトランプ支持者の間で気に入らない事実を無視・拒絶する教条主義が強まる傾向を示している。それは同時に、陰謀説に支えられるトランプ政権の危うさをも物語るのである。

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プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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