コラム

【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡霊」原子力推進式巡航ミサイル実験成功の意味

2025年10月30日(木)20時08分

ゲラシモフは「試験は10月21日に実施された。以前の試験とは異なり今回は数時間にわたる飛行が行われ、ミサイルは1万4000キロメートル飛行した。これは限界ではない。原子力推進を使用しており、約15時間飛行した」と説明した。

ゲラシモフの説明では、ブレベスニクの技術的特性はどんな射程距離でも高度に防御された目標に確実に命中させられることだという。試験飛行中、ブレベスニクはミサイル防衛システムや防空システムを回避する高い能力を示したと強調した。

停戦交渉でトランプ氏に譲歩を迫る思惑

プーチンは戦略核戦力でロシア・ベラルーシ連合国家の安全保障を「完全に確保できる」と胸を張った。ロシア直接投資基金(RDIF)のCEOで経済特使として対米交渉の窓口を務めるキリル・ドミトリエフ氏はブレベスニクの試験成功に関する情報を米当局者に伝えた。

プーチンには核の脅しを強めてウクライナ戦争の停戦交渉でドナルド・トランプ米大統領に譲歩を迫る思惑が働く。トランプ氏は、プーチンは戦争を終結させるべきだと述べ、米国はロシア近海に原潜を配備しており「1万4000キロメートルも移動する必要はない」と牽制した。

ロシアは試験成功を大々的に宣伝。米国がウクライナに巡航ミサイル「トマホーク」を供給すればブレベスニクは北米すべてを攻撃できると米国を露骨に脅す。 しかし米紙ウォールストリート・ジャーナル(10月28日付)は「極超音速ミサイルの方がはるかに危険」と報じた。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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