ニュース速報

ワールド

ノルドストリームガス漏れ、破壊工作か 欧州が原因究明急ぐ

2022年09月28日(水)11時44分

 ロシアから欧州に天然ガスを送る海底パイプライン「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」で発見されたガス漏れについて、ドイツ、デンマーク、スウェーデンは9月27日、破壊された可能性に言及した。ただ、不明な点が多く、欧州は原因究明を急いでいる。写真はデンマークのボーンホルム付近で同日撮影された、直径1キロメートルを超えるガスの気泡。デンマーク軍司令部提供写真(2022年 ロイター)

[ストックホルム/コペンハーゲン 27日 ロイター] - ロシアから欧州に天然ガスを送る海底パイプライン「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」で発見されたガス漏れについて、ドイツ、デンマーク、スウェーデンは27日、破壊された可能性に言及した。ただ、不明な点が多く、欧州は原因究明を急いでいる。

ドイツのハーベック経済相は、ガス漏れはガス管を狙った攻撃によるもので自然現象や消耗が原因ではないことは確かだと述べた。

デンマークのフレデリクセン首相とスウェーデンのアンデション首相は意図的な行為によるもので、恐らく破壊工作との認識を示した。ポーランドのモラウィエツキ首相は、証拠を示さずに破壊工作と断言した。

ロシアはウクライナ侵攻を巡る西側諸国の制裁に反発し、ノルドストリーム経由のガス輸出を削減してきた。両パイプラインは現在稼働していないが、冬が到来する前にノルドストリーム1が欧州へのガス供給を再開するとの期待は失われるとみられる。

ロシアも破壊工作の可能性があるとの見方を表明し、ガス漏れで欧州のエネルギー安全保障が損なわれたと指摘した。

ウクライナ政府の高官は欧州の不安定化を狙ったロシアの攻撃と主張したが、根拠は示さなかった。

モラウィエツキ首相はポーランド・ノルウェー間の新たなパイプライン開通のイベントで「われわれにはこれが破壊工作であることは明確で、ウクライナ情勢緊迫化の次のステップに関係している」と語った。

アンデション首相はガス漏れに絡み2回の衝撃が観測されており、スウェーデンへの攻撃ではないが、NATO(北大西洋条約機構)やデンマーク、ドイツなどの近隣諸国と緊密に連絡を取り合っていると述べた。

デンマークとスウェーデンの地震学者らは、ガス漏れの現場近くで26日に2件の強い爆発音を観測したと発表。

デンマーク・グリーンランド地質調査所(GEUS)は地震とは異なる活動が検知され、爆発で通常記録される活動に類似していると分析した。

スウェーデンのウプサラ大学国立地震学センター(SNSN)は、2回目の大きな爆発が「100キログラム以上のダイナマイトに相当する」とし、爆発は海底下ではなく水中で起きたと説明した。

デンマーク軍によると、最も大きな漏えいがある場所では、直径1キロメートル以上の泡が海面が発生したという。

<ガス漏れが爆発引き起こすリスク>

スウェーデン海事局(SMA)によると、ノルドストリーム 1の漏えいはスウェーデンの経済水域とデンマークの経済水域でそれぞれ1カ所見つかり、どちらもバルト海のデンマーク領ボーンホルム島の北東に位置する。船舶が現場に接近しないよう監視しているとした。

運営会社ノルドストリームは、パイプラインが「前例のない」損傷を受けたと発表した。

デンマーク・エネルギー庁のベッツァウ長官は、パイプラインの穴は非常に大きく、ノルドストリーム2からのガス漏れが止まるまでおそらく1週間かかると述べた。「海面にはメタンが充満しており、この海域では爆発の危険性が高まっている」と警告した。

*動画を付けて再送します。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、イタリアに金準備巡る予算修正案の再考を要請

ビジネス

トルコCPI、11月は前年比+31.07% 予想下

ワールド

香港大規模火災、死者159人・不明31人 7棟の捜

ワールド

プーチン氏、一部の米提案は受け入れ 協議継続意向=
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 7
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 8
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中