ニュース速報

ワールド

米、安全保障巡り書面回答 ロシアは新たに軍事演習

2022年01月27日(木)09時45分

1月26日、米国はロシアが提示した安全保障に関する要求に対し書面で回答した。写真は米国務省で記者会見するブリンケン国務長官。代表撮影(2022年 ロイター)

[モスクワ/ワシントン 26日 ロイター] - 米国は26日、ロシアが提示した安全保障に関する要求に対し書面で回答した。一方、ロシアはウクライナ周辺の陸・海域で新たに軍事演習を実施した。

米政府の回答は、サリバン駐ロシア大使がモスクワのロシア外務省に出向いて渡した。

ブリンケン米国務長官は記者団に対し、回答ではロシアの懸念事項を取り上げると同時に、米国と同盟国の懸念も提起したと説明。ロシアが選択した場合に開かれる真剣な外交の道筋を明示し、ロシアが提起した懸念を原則的かつ現実的に精査していると明らかにした。米国は対話にオープンとも述べた。

ただ、どのように反応するかはロシア次第とし、米国もまたどちらの方向にも動く用意があると警告。近くロシアのラブロフ外相とフォローアップのための協議が行われるとの見通しを示した。

また、米国はロシアに回答するに当たり、ウクライナのほか、欧州の同盟国と完全に見解を調整したと表明。北大西洋条約機構(NATO)の「オープンドア」政策に関する米国の見解に変更はないと述べた。

NATOのストルテンベルグ事務総長も、ロシアの安全保障の要求に書面で回答したと明らかにした。ロシアに対し「直ちに緊張を緩和させるよう改めて呼び掛ける」とした上で、見解の相違は対話と外交を通して解決すべきであり、どの国も自国の安全保障体制を自由に決定すべきと強調した。

ロシアはNATOに東欧からの部隊撤収やウクライナの加盟阻止などを求めている。米国とNATOはこの要求を拒否する一方、軍備管理や信頼醸成措置などについては協議する用意があるとしている。

ロシアのグルシュコ外務次官は、NATO側の回答を精査するためどの程度時間を要するかを巡り、インタファクス通信に対し「読んで検討する。(彼らは)われわれの計画を1カ月半近く精査した」と述べた。

<パリで4カ国が協議>

一方、ロシアはウクライナ周辺の陸上と黒海で軍事演習を実施したほか、ウクライナの北に位置するベラルーシにパラシュート部隊や戦闘機を追加派遣した。ロシアは来月にベラルーシと合同演習を行うとしている。

ウクライナはロシアがパニックを引き起こそうとしていると指摘。クレバ外相は、ロシアは大規模な攻撃に必要な部隊をまだ集結させていないとしながらも、いずれ攻撃に踏み切る可能性は否定できないとした。

こうした中、パリではロシア、ウクライナ、フランス、ドイツの外交官がウクライナ東部の紛争終結に向けて会談し、8時間以上にわたり協議した。共同声明では停戦合意の順守に対するコミットメントを再確認した。

ロシア政府代表として協議に参加したドミトリー・コザク氏は、親ロシアの分離独立派の提案にウクライナ政府は回答していないと指摘。ベルリンで2週間後に行われる次回協議で溝を埋められることを望むと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元カレ「超スター歌手」に激似で「もしや父親は...」と話題に

  • 4

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 9

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 10

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中