ニュース速報

ワールド

G7、途上国向けインフラ支援構想で合意 「一帯一路」に対抗

2021年06月13日(日)12時28分

主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)2日目となる12日、各国首脳は中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」に匹敵する途上国向けの新たなインフラ支援構想で合意した。12日の代表撮影。(2021年 ロイター)

[カービスベイ(英イングランド) 12日 ロイター] - 主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)2日目となる12日、各国首脳は中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」に匹敵する途上国向けの新たなインフラ支援構想「Build Back Better World (B3W)」を導入することで合意した。大規模なインフラ支援を途上国に提供することで、増大しつつある中国の影響力に対抗する狙いだ。

ホワイトハウスによると、バイデン米大統領を含むG7首脳は、B3Wでの透明性のあるパートナーシップを通じ、途上国が2035年までに必要なインフラ整備資金40兆ドルの一部を支援する計画。

バイデン政権の高官は「これは単に中国との競争ではない」とし、中国政府による「透明性を欠いた、環境・労働基準の低い、強制的なアプローチ」に対して、西側諸国はこれまで前向きな代替策を示してこなかったと語った。

ホワイトハウスによると、米政府はB3Wの下、議会と協力し、既存の開発融資を増額し、総額数千億ドル規模のインフラ投資を予定している。

このほか、ホワイトハウスによると、G7と同盟国はB3Wの下で、気候変動、医療・医療の安全保障、デジタル技術、ジェンダー平等の分野で民間資本を活用する計画。ただ、具体的な運用方法は現時点で明らかではない。

中国の習近平国家主席が2013年に打ち出した「一帯一路」構想には、アジアから欧州まで広域の開発・投資イニシアチブが含まれる。これまでに100カ国以上が鉄道や港湾、幹線道路などのインフラ整備で同構想と協力することで中国と合意を交わしてきた。

一部からは「一帯一路」構想は中国の覇権拡大が狙いとの批判も出ていた。

<強制労働問題>

米政府や人権団体が指摘する中国での強制労働を巡っては、バイデン氏はG7首脳に対し、共同声明で糾弾する文言を盛り込む必要性を強く訴えたもよう。だが、米当局者によると、G7の他の国が共同声明での中国批判をどこまで受け入れるか、足並みは揃っていない。

この当局者はその後、G7首脳が中国の非市場経済の慣行と人権侵害に対して共通したアプローチを取る必要性で合意したと説明。また、サプライチェーン問題で協調する必要性でも一致したと語った。

当局者らによると、米国は共同声明で、中国の新疆ウイグル自治区での強制労働に関する特定の文言を入れるよう主張した。

中国は新疆ウイグル自治区での強制労働や人権侵害はないとしている。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

フジHD、33.3%まで株式買い増しと通知受領 村

ビジネス

アングル:日本株の年末需給、損益通算売りの思惑 グ

ビジネス

インタビュー:ラピダス半導体にIOWN活用も、供給

ワールド

インドの卸売物価、11月は前年比-0.32% 下落
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中