ニュース速報

ワールド

移民8000人が不法越境、モロッコからスペイン領セウタへ

2021年05月19日(水)10時39分

アフリカ大陸北端にあるスペイン領セウタに17日から18日にかけて、隣接するモロッコから移民約8000人が一斉に不法入国した。写真は18日、セウタ、国境フェンス付近で撮影(2021年 ロイター/Jon Nazca)

[セウタ(スペイン) 18日 ロイター] - アフリカ大陸北端にあるスペイン領セウタに17日から18日にかけて、隣接するモロッコから移民約8000人が一斉に不法入国した。スペインのサンチェス首相は欧州にとり深刻な危機だと指摘し、モロッコとの外交的緊張が高まる中、速やかに対応すると表明した。

越境した人の多くはサハラ砂漠以南の出身者で、未成年者も1500人ほどいる。泳いだりフェンスを乗り越えたりしてセウタに不法入国した。スペインはモロッコとの国境警備を強化するため軍を配備。既に約4000人がモロッコに送り返されたという。

セウタの地域指導者は、不法入国者急増へのモロッコ当局の対応が消極的だと批判。専門家からは、モロッコがスペイン政府に圧力をかけるため、不法入国を容認したとの指摘がある。モロッコが実効支配する西サハラの独立運動指導者ブラヒム・ガリ氏を、スペインが国内の病院に入院させる決定をしたため、との見方だ。スペイン政府はこうした見方を否定している。

モロッコのテレビは、18日午後に当局がセウタへの不法入国を防ぐためにフェンスを設置している映像を伝えた。ただ、これより先にスペイン側から撮影された映像では、モロッコの兵士や警官が何十人もの移民を何のチェックもせずに緩衝地帯のゲートに通している様子が映されていた。

サンチェス首相は「移民の突然の急増はスペインと欧州にとり深刻な危機だ」と指摘。欧州委員会のシナス副委員長は、セウタの国境は欧州の国境だとツイッターに投稿し「スペインとの全面的な連帯」を表明した。

モロッコは、スペインが先月、ガリ氏を入院させたことを批判していた。スペイン政府は、人道上の観点から対応したに過ぎないと主張している。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国は戦時文書を「歪曲」、台湾に圧力と米国在台湾協

ビジネス

エヌビディアが独禁法違反、中国当局が指摘 調査継続

ビジネス

無秩序な価格競争抑制し旧式設備の秩序ある撤廃を、習

ワールド

米中閣僚協議2日目、TikTok巡り協議継続 安保
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中