ニュース速報

ワールド

イラン核合意巡る協議に進展、「中間合意も」=イラン当局者

2021年04月20日(火)08時29分

イラン政府当局者は19日、イラン核合意の再建に向けた米国との間接協議について、ある程度の進展が見られているとし、中間合意が得られる可能性があるとの見通しを示した。写真はイランの国旗。3月1日撮影(2021年 ロイター/Lisi Niesner)

[ドバイ 19日 ロイター] - イラン政府当局者は19日、イラン核合意の再建に向けた米国との間接協議について、ある程度の進展が見られているとし、中間合意が得られる可能性があるとの見通しを示した。

対立する米国とイランは今月初めからウィーンで欧州などが仲介役となり、間接協議を開始。米国による対イラン制裁とイランの核合意違反が協議の焦点となっている。

イラン外務省報道官は19日の記者会見で「最終的な合意が得られたわけではない」としながらも、「協議は正しい軌道に乗っており、幾分の進展が見られている」と指摘。

ロシアの国際原子力機関(IAEA)大使、ミハイル・ウリヤノフ氏は「実質的な解決にはまだ遠いが、協議は一般的な文言から目標に向けた特定の措置の合意に移っている」と語った。

別のイラン政府当局者は「5月の期限が近づく中、技術的に複雑な問題の解決に向けた時間を確保するために、中間合意の枠組みが討議されている」と述べた。

イランでは昨年、制裁が解除されない場合に政府に核活動の拡大を義務付ける法律が成立。同法には2月21日以降のIAEAによる抜き打ち査察の受け入れ停止が含まれたが、政府とIAEAは2月下旬、最大3カ月はIAEAが必要な検証・監視作業を継続することで合意している。

イランの核交渉を担当するアラグチ外務次官は国営メディアに対し、中間合意に関する協議はされていないと語った。

だが、別のイラン当局者は、制裁の全面解除に向けた措置で政治合意があれば、イラン政府は外国資産の凍結解除と引き換えに20%へのウラン濃縮を停止する可能性があるとの見方を示した。

米国務省報道官は、米国側がイランと米国の双方が再び合意を順守するために必要な措置について、具体的なアプローチを模索していると説明。間接協議は慎重に進められており、大きな進展はまだないが、そもそもこの協議が容易かつじん速に進むとは考えていないと述べた。また、米政府の代表団は協議のためにいったん帰国する見込みだが、時期については不明だとした。

これに先立ち、欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)は、協議に進展が見られるという認識を示し「合意に向け、(米国とイラン)双方に真の善意がうかがえる。これは良いニュースだ」とした上で「双方は合意に強い関心を持っており、一般的な問題からより個別の問題へと焦点が移行している」と述べていた。

*イラン当局者と米国務省報道官のコメントを追加しました

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...その正体は身近な「あの生き物」
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中