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焦点:中国全人代、新5カ年計画が習主席の野望成就への試金石に

2021年03月04日(木)16時03分

 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日に開幕する。写真は1日、北京の紫禁城前を警備する武装警察部隊(2021年 ロイター/Thomas Peter)

[北京 2日 ロイター] - 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日に開幕する。米国との戦略的競合関係を背景に消費と国産技術への依存を高めようとする中、景気回復の道筋を示し、スタグネーション(景気停滞)回避に向けた5カ年計画を公表する。

初日には李克強首相が2021年の政府活動報告を行う。関係筋によると、新型コロナウイルス流行を受けて今年も前年に続き明確な経済成長目標は盛り込まれない見通しだ。

同じ日に発表される第14次5カ年計画(2021─25年)は、新たな成長エンジンを稼働させイノベーションを促すような改革を促進するよう呼び掛ける。関係筋によると、同計画では年平均5%前後の経済成長達成が目標となる見込み。

また、香港の選挙改革も決まる可能性がある。中国は改革で「愛国者」に香港を統治させるようにし、民主派を影響力をさらに削ぐ方針だ。

北京に拠点を構えるコンサルタント会社「チャイナ・ポリシー」は最近のリポートで、「第14次5カ年計画では科学、技術、イノベーションにほぼ絶対的なプライオリティー(優先権)が与えられるだろう」と指摘した。

米中間の緊張が高まり、米国が中国の通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)に対する半導体供給を禁じたことで輸入技術に頼る中国の姿が浮き彫りとなった。

チャイナ・ポリシーは「生産性向上、消費促進、農村活性化、環境浄化を超越し、科学技術大国になることは国家安全保障問題だ」とした。

<「中所得国の罠」>

習近平国家主席は中国を2025年までに「高所得」国に、35年までに「中等先進」国にすることを目指している。35年には経済規模は20年の水準の2倍となる見込み。

中国のグローバル大国化という習主席の野望を果たすため、新たな5カ年計画では中国が「中所得国の罠(わな)」を切り抜ける道筋を示す必要がある。中所得国の罠とは、ある国が中所得の水準に達した後、生産コストの上昇などで競争力が低下し、最終的に経済が停滞する現象だ。

華夏新供給経済学研究院の賈康院長はロイターに対し、中国は「外国テック企業による締め付け」に脆弱な半導体、半導体製造装置、基本ソフト(OS)といった重要分野でブレークスルーを成し遂げる必要があると指摘。「計画は第14次の5カ年に限定されることなく、『中所得国の罠』を回避した後いかに持続可能な発展を成し遂げるか、2035年につながるものになるだろう」と述べた。

英経済ビジネス・リサーチ・センターは、中国が2028年に米国を抜き、世界最大の経済大国になると予想。新型コロナ流行からの対照的な米中両国の回復状況を背景に、従来予想よりも5年早まるとみている。

<まだら模様の回復>

関係筋によると、昨年に多くの刺激措置を打ち出したことを受け、政策当局者は今年の経済支援策を縮小する見通し。ただ、消費がさえず、小規模企業が苦境にあえぐ中、まだら模様となっている回復状況が頓挫しないよう慎重に政策運営を進める方針だ。

中国共産党の政治局は2月26日、中国の回復局面はまだしっかりとした足取りにはなっていないとの認識を示した。

中国人民銀行(中央銀行)の政策顧問で全国政治協商会議の経済委員会副主任を務める劉世錦氏は26日、中国経済が新型コロナ危機から回復する中、2021年の国内総生産(GDP)は8─9%増加する可能性があるとの見方を示した。ただ、これは2020年の成長率が2.3%と低かったことが理由で、経済が「高度成長」局面に戻ったわけではないと指摘した。

(Kevin Yao記者)

ロイター
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